【いとしのエンタメ】映画「ウィンド・リバー」
今週の「いとしのエンタメ」は、アメリカ映画「ウィンド・リバー」をご紹介しました。
第70回カンヌ国際映画祭で〈ある視点部門〉監督賞を受賞したクライム(犯罪)・サスペンスです。
アメリカ・ワイオミング州のネイティブアメリカンの保留地ウインド・リバー。
その深い雪に閉ざされた山岳地帯で、ネイティブアメリカンの少女の死体が見つかる。
現場から5キロ圏内に民家はなく、薄着で裸足の少女は血を吐いた状態で凍死していた。
深夜には零下30度にもなる極寒の雪原で走ると、その冷気が肺を凍らせ、破裂させてしまう。
第一発見者は、野生生物局の白人ハンター、コリー・ランバート。
実は、3年前にコリーの娘も同じような状態で亡くなっていた。
コリーは、部族警察長とともにFBIの到着を待つが、やってきたのは新米の女性捜査官ジェーン・バナーひとりだけだった。
少女の直接的な死因は肺出血で、他殺と認定できないためFBIの専門チームを呼ぶことができない。
経験の乏しい新米捜査官ジェーンは、ウインド・リバーに精通したコリーに捜査協力を求める。
少女は、何故、深夜の雪原を走って息絶えたのか……
テイラー・シェルダンという監督には、現代社会から忘れ去られた人々を描くという視点があります。
この作品の舞台、ウィンド・リバーという場所は、ネイティブアメリカンの保留地。
ヨーロッパからの移民によって追いやられたネイティブアメリカン達が住む場所です。
アメリカには、このような土地がいまだに点在するそうです。
荒れ果てた大地、極寒の地、そんな場所に追いやられたネイティブアメリカン達は、働く意欲を喪失し、貧困やドラッグなどの問題も慢性化しています。
この作品は、そのような中で頻発する女性たちの失踪事件や性犯罪被害という現状を、衝撃的なストーリー展開で突き付けてくる問題作です。
日本はもちろんのこと、世界にはまだまだ知らなければならないことがたくさんあると痛感させられる作品です。
監督・脚本 テイラー・シェリダン 出演 ジェレミー・レナー エリザベス・オルセン ジョン・バーンサル
2017年 アメリカ 107分 配給:KADOKAWA
http://wind-river.jp/
7月27日(金)から、シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸で上映中
~サウンドブランチ 鳥飼美紀~