【いとしのエンタメ】 映画「日日是好日」
サウンドブランチ 鳥飼美紀です。
今週ご紹介した映画は「日日是好日」です。
大学生の典子は母親に勧められて、いとこのミチコと共に”お茶”を習い始める。
先生は、近所で茶道教室を開いている武田のおばさん。
典子の母親は、その人のことを「タダモノではない」と言った。
お稽古の初日、茶道の細かい所作に意味も理由もわからない二人は戸惑う。
「意味など分からなくていい。先に『形』を作って、その入れ物にあとから『心』を入れるもの」と、武田先生は教える。
それから20年以上、お茶とともに典子の人生のページが一枚一枚めくられていく……。
原作は、森下典子さんの「日日是好日」(新潮文庫)
1956年生まれの森下さんが、20歳の頃から続けている「お茶(茶道)」について綴ったエッセイ。
本の副題に「お茶が教えてくれた15のしあわせ」とあります。
15章すべて、お茶のお稽古で森下さんが五感と心で味わった「生きること」について書かれてあり、森下さんとともに読者もそれに気づいていく……という、心が豊かになる1冊。
世の中には、「すぐわかるもの」と「すぐわからないもの」の二種類があると、森下さんは本のまえがきに書いています。
小学生の時に観てさっぱり意味が分からなかった映画を、30代になってもう一度見たら、思いがけないほどの感動を覚えた……と。
「すぐにわからないもの」こそ、人生では大切なものになるのかもしれなませんね。
映画の中では、そんな「人が成長する時間」と「四季」という二つの時間が流れていきます。
季節ごとの庭の緑、掛け軸や生け花、お茶道具など、心が安らぐ映像も見どころ。
“この一言に感動!”
私・鳥飼が作品の試写を観て、感動した、あるいは感銘を受けた“言葉”を記しておきたいと思います。
その一言が、作品全体を表していることがあるかもしれません。
また、その一言が涙を誘うきっかけになるのかもしれません。
そんな、私の「心に響いた言葉」をどうぞお受け取り下さい。
では、「日日是好日」の“一言”、それは……
「あの人は、タダモノじゃない」
本の冒頭でも、また映画の中でも、主人公の母親から「あの人は、タダモノじゃないわよ」と言われる茶道の先生・武田のおばさん。
「タダモノじゃない」って、色々な捉え方があるかもしれませんが、私は素晴らしい褒め言葉だと思っています。
一度は人からそう言われてみたい!
人から尊敬される、感心される“何か”を持つ人間になりたいと思いませんか?
そんな「タダモノではない」武田先生を、先日亡くなられた樹木希林さんが演じています。
まさに、タダモノではない女優さんでした。ご冥福をお祈りします。
日日是好日、雨の日でも晴れの日でも、泣いても笑っても その日一日をただありのままに生きる……。
原作:森下典子
監督・脚本 大森立嗣
出演:黒木華 樹木希林 多部未華子
2018年 100分 配給:東京テアトル、ヨアケ
http://www.nichinichimovie.jp/
10月13日(土)から、イオンシネマ三田WT シネリーブル梅田・神戸 テアトル梅田で公開されます。
※10月7・8に先行上映があります。詳細は各劇場のホームページ等でご確認ください。