鈴木家の嘘
サウンドブランチ 鳥飼美紀です。今週ご紹介した映画は、「鈴木家の嘘」!
「テルマエロマエ」「舟を編む」「セトウツミ」など数々の話題作でチーフ助監督を務めた野尻克己監督の、長編劇映画デビュー作品です。
鈴木家の長男・浩一がある日突然、みずからこの世を去る。
それを目撃した母は、ショックのあまり記憶を失ってしまう。
そんな母のため、遺された父と長女は一世一代の嘘をつく。
「引きこもりだった浩一は家を出て、アルゼンチンで働いている」と。
嘘を本当にするために、父は原宿でチェ・ゲバラのTシャツを探し、娘は兄に成りかわって手紙を書く。
さらに親戚たちも巻き込んでのアリバイ作りをする。
すべては母の心を守るために……。
この物語は、野尻監督自身の体験から生まれたそうです。
家族の中の誰かがいなくなって、初めて「家族」について考えた…とか。
案外、そんなものかもしれませんね。
でも、誰もが一生に一度は必ず考えることではないでしょうか?
「バレバレの、そして必ずいつかバレる嘘」をつく父と娘が、その嘘を本当にするために、また嘘をつく……という悲喜劇。
映画の中では、自死によって残された家族の、心の傷や苦悩も浮かび上がってきます。
母を守るために父と娘のついた「嘘」を一番信じたかったのは、もしかしたら父と娘自身だったのかもしれませんね。
監督:野尻克己
出演:岸部一徳 原日出子 木竜麻生 加瀬亮 岸本加代子 大森南朋
2018年 日本 133分 配給:松竹ブロードキャスティング/ビターズ・エンド
http://www.suzukikenouso.com/
11月16日(金)から、シネ・リーブル梅田 神戸国際松竹で公開されます。