【いとしのエンタメ】「ヴィクトリア女王 最期の秘密」
こんにちは。サウンドブランチ 鳥飼美紀です。
今週ご紹介した映画は、ジュディ・デンチ主演「ヴィクトリア女王 最期の秘密」です。
ジュディ・デンチは、1997年に同じくヴィクトリア女王を演じた「Queen Victoria 至上の恋」で、英国アカデミー賞主演女優賞を受賞しています。
この作品でも、威厳とプライドと知性、そして脆さを体現できる女優として、素晴らしい“晩年のヴィクトリア女王”を演じています。
1887年、英国領インドに住む若者アブドゥルは、ヴィクトリア女王の即位50周年記念式典で記念金貨を献上する役目に任命され英国へ渡る。
18歳で即位してから、長い間心休まらない日々を送っていた女王ヴィクトリアは、金貨献上に現れたアブドゥルに心を奪われる。
物怖じせず、本音で語りかけてくる……そしてハンサムでもあるアブドゥルを気に入ったヴィクトリアは、彼を従僕にする。
インド皇帝でもありながら現地を知らない女王は、アブドゥルから教えてもらうインドの言葉や文化に魅了されていく。
ふたりの間には身分も年齢も超えて強い絆が芽生えていくが、周囲はふたりの関係に猛反対、やがて事態は英国王室を揺るがす大騒動へと発展していく。
2019年は、ヴィクトリア女王生誕200年という記念すべき年。
大英帝国の最盛期に君臨したヴィクトリア女王の名前は、世界史の授業の中でも特に印象に残っている…という人も多いでしょう。
在位期間は63年7か月。みずからプロポーズして結婚したアルバートとの間に9人もの子供に恵まれ、アルバート亡き後は生涯喪服で過ごしたそうです。
彼女は幼い頃から嘘の付けない性格で、周囲にも正直であることを求め、肌の色や階級、信仰などに「偏見」を持たない君主だったといいます。
そんなヴィクトリアの心をとらえたインド人のアブドゥルは、女王から「ムンシ(先生)」と呼ばれましたが、周囲からはついに認められることはありませんでした。
この物語は、最近になって解読された女王とアブドゥルの日記によって明らかになった事実をもとに描かれています。
アブドゥルが初めてヴィクトリアに会ったとき、彼はひざまづき恭しく女王の靴にキスします。
そして、ヴィクトリアが天国に旅立つときにも、アブドゥルは同じように足先にキスします。
この行為が、私にはアブドゥルとヴィクトリアの“絆”を表す素敵なシーンに思えました。
監督:スティーヴン・フリアーズ
出演:ジュディ・デンチ アリ・ファザル エディ・イザード アディール・アクタル
2017年 イギリス・アメリカ 112分 配給:ビターズ・エンド、パルコ
http://www.victoria-abdul.jp/
1月25日(金)から、テアトル梅田で公開中。2月1日からは、シネ・リーブル神戸でも上映されます。