【とっておきシネマ】 ドイツ映画 『希望の灯り』

サウンドブランチ 鳥飼美紀です。
今週ご紹介した映画は、『希望の灯り』というドイツの作品です。

© 2018 Sommerhaus Filmproduktion GmbH

ドイツ、アウトバーン沿いの巨大スーパーマーケット。
主人公のクリスティアンは、内気で極端に無口な青年。
彼には、ちょっと訳ありの過去があるが、在庫管理担当としてこのスーパーマーケットで働き始める。
先輩の中年男性ブルーノは、クリスティアンに仕事のいろはやフォークリフトの操縦の仕方を教え、彼にとって父親のような存在になる。
そして、クリスティアンはスイーツセクションで働くマリオンという女性に出会い、彼女の謎めいた魅力に一瞬で惹かれてしまう。
コーヒーマシーンのある休憩所が彼らのおきまりの場所となり、二人は親密になっていくが……。

© 2018 Sommerhaus Filmproduktion GmbH

♪美しき青きドナウのメロディに乗って、通路を行き交うフォークリフトが印象的な冒頭シーン。
クリスティアンは腕や首の後ろにタトゥーを入れていますが、作業服の袖をキュッと引っ張り、そのタトゥーを隠して毎日職場に入ります。
ここで働くのは、素朴で、ちょっと風変わりで、心優しい人ばかり。
それぞれが心に痛みを抱えているから、互いに立ち入り過ぎない節度があります。
後半には悲しい出来事も起きますが、彼らは喪失の悲しみを静かに受けとめ、つましく生きていきます。
いま目の前にある小さな幸せに喜びを見出すことで日々の生活にそっと灯りをともす…そんな彼らの姿が、観客の胸に深い余韻を残してくれます。
ベルリンの壁崩壊に続くドイツ再統一によって、旧東ドイツ人のなかには祖国を喪失したと感じる人も多かったようです。
ブルーノがその象徴として描かれていますが、彼の選んだ結末にはただ祈ることしかできません。
社会の片隅で助けあう人々の静かな日常が、心に染み入る優しい物語です。

© 2018 Sommerhaus Filmproduktion GmbH

監督:トーマス・ステューバー
出演:フランツ・ロゴフスキ ザンドラ・ヒュラー ペーター・クルト
2018年 ドイツ 125分 配給:彩プロ
http://kibou-akari.ayapro.ne.jp/
4月26日(金)から シネ・リーブル梅田で公開 近日公開 シネ・リーブル神戸

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