【とっておきシネマ】 日本・フランス合作映画『よこがお』
サウンドブランチ 鳥飼です。
今週ご紹介した映画は、ある事件をきっかけに「無実の加害者」となった女性の絶望と希望を描いた作品です。
監督は、『淵に立つ』という作品でカンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞を受賞した、深田晃司さん。
そして、主演は同作品でも主演した筒井真理子さんです。
ちょっと迷って言いそびれる……ということ、よくありますよね。
そんな小さなことが、自分の運命を崩壊させることになったとしたら、あなたはどうしますか?
献身的な仕事ぶりで周囲から厚く信頼されていた、訪問看護師の市子。
なかでも訪問先の大石家の長女・基子とは、介護福祉士になるための勉強を見てやるなど、特に親しい関係になっていた。
しかし、ある事件が起こり犯人が逮捕されたことによって、市子は事件との関与を疑われる。
ねじまげられた報道と予期せぬ裏切りによって、彼女はそれまで築き上げた生活と目前に迫っていた結婚、そのすべてを失ってしまう。
市子は名前をリサと変え、ある人物に復讐しようと計画するが……。
今回の『よこがお』というタイトル、横顔というのは半分しか見えていない状態。
「一度で見ることのできない人間の複雑な多面性」を描きたかったと監督。
前作『淵に立つ』もこの作品も、ちょっとしたことで崩れ去っていく順調だったはずの人生が描かれています。
身に覚えのないことで日常が崩壊する恐怖。
ネット社会やマスコミの過熱報道などで、今や誰の身にもそんな不条理が起こりえます。
主人公の市子は、自分をそんな目に合わせた人物だけではなく、運命にも復讐するかのように行動を起こしますが……。
「すべてを受け入れ、生きていく」ことの難しさと美しさを痛感させられる作品です。
監督:深田晃司
出演:筒井真理子 市川実日子 池松壮亮 吹越満
2019年 日本=フランス 111分 配給:KADOKAWA
https://yokogao-movie.jp/
7月26日(金)~テアトル梅田 シネリーブル神戸などで公開されます。