【とっておきシネマ】インド・フランス合作映画『あなたの名前を呼べたなら』
サウンドブランチ 鳥飼美紀です。
今週ご紹介した映画は、ロヘナ・ゲラというインドの女性監督の長編デビュー作品です。
現実のインドでは起こりえないという“身分の違う男女の恋”が描かれています。
経済発展著しいインドのムンバイが舞台。
農村出身のラトナは、建設会社の御曹司アシュヴィンの家でメイドとして働いている。
アシュヴィンが結婚するため、休暇をもらい里帰りをしていた彼女は突然呼び戻される。
アシュヴィンの婚約者の浮気が発覚し破談になったのだ。
広すぎる高級マンションにひとりで暮らす傷心のアシュヴィンに仕えるラトナだったが、ある日、小さな願い事を申し出る。
親の決めた結婚をし、夫は新婚4か月で亡くなり、今は妹の学費を稼ぐためにメイドとして働く彼女には胸に秘めた夢があったのだ。
アシュヴィンは、夢を持って働くラトナに使用人以上の思いを抱くが、ふたりには“階級”という壁があった……。
階級や身分…いまだインドではその壁を無視して生きることは困難なのでしょう。
アシュヴィンは何とかしてラトナと結ばれたいと思い、「旦那様」ではなく「アシュヴィン」と呼んでほしいと願います。
しかし、ラトナはその願いに応えることはできない……。
里帰りするたびに腕のバングルをはずすラトナ。
身分違いだけではなく、未亡人の再婚は許されないというラトナの立場が壁をさらに厚くしているのです。
身分違いの恋愛によってラトナが不幸になることを恐れたアシュヴィンは、別の方法で彼女への愛を示します。
ラストシーン、少し心が躍ります。
監督:ロヘナ・ゲラ
出演:ティロタマ・ショーム ヴィヴェーク・ゴーンバル
http://anatanonamae-movie.com/
2018年 インド・フランス合作 99分 配給:アルバトロス・フィルム
8月9日(金)~テアトル梅田 8月23日(金)~シネ・リーブル神戸で公開されます