【とっておきシネマ】オランダ映画『レディ・マエストロ』

サウンドブランチ 鳥飼美紀です。
今週、こんなニュースが入ってきました。
フランスの「ブザンソン国際指揮者コンクール」で、日本人女性指揮者の沖澤のどかさんが優勝!
このコンクールは若手指揮者の登竜門として知られ、あの小澤征爾さんも1959年に優勝しています。
現代でも男性が圧倒的に多い指揮者の世界で、沖澤さんのような女性の受賞は注目を集めますね。

©Shooting Star Filmcompany – 2018

さて、今週のとっておきシネマは、女性が指揮者になるという夢を見ることさえ許されなかった時代のお話です。
1930年に、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の指揮者としてデビューした女性、アントニア・ブリコ。
彼女がどのようにして“女性指揮者のパイオニア”となったのかを描いた実話『レディ・マエストロ』です。

©Shooting Star Filmcompany – 2018

今から90年ほど前のニューヨーク。
まだプロの女性指揮者が一人もいない時代に、指揮者になるという強い意志を持って人生をその夢に捧げたアントニア。
コンサートホールの案内係として働いていた彼女は、ホールの最前列に椅子と楽譜を持ち込み、一流の指揮を勉強しようとしてクビになってしまう。
その後、ある出会いをきっかけに音楽学校に通い始めるが、裕福な家ではなかったため学費はナイトクラブでピアノを弾いて稼いだ。
しかし、時代は女性が指揮者になることを簡単に受け入れてはくれない……。
差別やハラスメントが当たり前のように行われ、あるトラブルが原因でアントニアは音楽学校の退学を余儀なくされてしまう。
夢を諦めないアントニアはヨーロッパに渡り、ついに女性に指揮を教えてくれる師カール・ムックと巡り合う。

©Shooting Star Filmcompany – 2018

アントニア・ブリコは2歳の時に養子に出され、その養父母とともにオランダからアメリカに移民として渡って来ました。
その出生の秘密や、先輩指揮者からのハラスメント、恋人との別れ、上流階級からの偏見や差別など、彼女には様々なアクシデントが襲い掛かります。
何度打ちのめされてもへこたれない強靭なメンタルと、夢を追い続ける意思の強さが生半可ではないことに羨望さえ覚えます。
キャリアも富もコネクションもない彼女にあるのは音楽への情熱だけでしたが、恋人や友人や師との素晴らしい出会いにも恵まれました。
人生において“出会い”が大切な宝物となることを、あらためて思い知らされるエピソードがちりばめられています。
なかでも、ラストシーンの恋人のある行動は、勇気と茶目っけがブレンドされて、男女の愛情を超えたリスペクトを感じます。
アントニアをとり巻く人間関係においても見ごたえ感たっぷりの『レディ・マエストロ』を、ぜひ劇場でご覧ください!

©Shooting Star Filmcompany – 2018

監督:マリア・ペーテルス
出演:クリスタン・デ・ブラーン ベンジャミン・ウェインライト スコット・ターナー・スコフィールド
2018年 オランダ 139分 配給:アルバトロス・フィルム
http://ladymaestro.com/
10月4日(金)~テアトル梅田 11月1日(金)~シネ・リーブル神戸で公開されます。

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