サウンドブランチ 鳥飼美紀です。
今週ご紹介した映画は、フランス映画ですがグリーンランドの大自然を舞台にした『北の果ての小さな村で』という作品です。
北極に位置する世界一大きな島、グリーンランド。
面積は日本の約6倍もありながら、人口は約5万6000人だそうです。
1953年までデンマークの植民地でしたが、1979年に内政自治権を獲得しました。
映画の中で映し出される雄大なフィヨルドや幻想的なオーロラ、犬ぞりで走り抜ける大雪原など、小さな日本に住む私たちはその景色に圧倒されます。
ちょうど今週、どこかの国の大統領が「グリーンランドを買いたい」と言って話題になりましたね。
グリーンランド東部・チニツキラーク村。
人口わずか80人の小さな村にデンマークから一人の青年がやってくる。
村の小学校にデンマーク語を教えるため赴任してきた、新人教師アンダースだ。
極寒の地での慣れない生活、言葉も習慣も違う子供たちと上手く交流できない“よそ者アンダース”への村人からの視線は厳しい。
そんなある日、生徒のアサーが祖父との犬ぞり旅のために、一週間学校を無断欠席する。
心配してアサーの家を訪れ、“学校の大切さ”を伝えるアンダース。
しかし生徒の祖母は、「孫の夢は猟師になること。人生に必要なことはすべて爺さんが教える」と、彼の意見を受け入れない。
そんな時、アサーの祖父が亡くなってしまう。
漁師への夢が途絶えそうなアサーに対し、勉強を教える以外に何ができるのか……アンダースは考えはじめる。
グリーンランドの小さな村に、サンタクロースのような風貌のアンダースがやってくる冒頭のシーン。
真っ白な雪の中にカラフルで可愛い家がぽつんぽつんと点在している…その景色が印象的です。。
村に住む人たちは大自然の中ですべての生き物に敬意を払い、伝統を守りながらシンプルに、そして心豊かに暮らしています。
そんなグリーンランドに魅せられた、フランス人のサミュエル・コラルデ監督。
この村をロケ地に選んだ時、たまたまデンマークから新人教師が赴任することを知り、その青年アンダースさんをそのままキャスティングしたそうです。
アンダース以外の登場人物もすべて本人たちが演じる……というドキュメンタリー的な手法で、リアリティ溢れる作品になっています。
そして嬉しいことに、アンダースさんは現在もこのチニツキラーク村で先生として暮らしているそうですよ。
価値観の違う生き方をリスペクトしよう、そんな気持ちが湧きおこる素敵な映画です。
監督:サミュエル・コラルデ
出演:アンダース・ヴィーデゴー アサー・ボアセン チニツキラーク村の人々
2017年 フランス 94分 配給:サンフィルムズ
http://www.zaziefilms.com/kitanomura/
8月30日(金)~シネ・リーブル梅田、少し先ですが10月11日(金)~シネ・リーブル神戸で上映されます。