【とっておきシネマ】伊集院静原作『駅までの道をおしえて』

サウンドブランチ 鳥飼美紀です。

今週のとっておきシネマは、子どもと犬と老人が主人公の物語『駅までの道をおしえて』をご紹介しました。
監督は原作を読んで、「涙が粒ではなく面で流れた。とても大事なことが書かれてあると感じた」と語っています。
それが15年前のことで、この作品が完成するまでに長い時間が流れ、撮影にも1年半を費やしたそうです。
それだけに、とても丁寧に描かれていて心からの涙を流せる感動の作品となっています。

©2019映画「駅までの道をおしえて」production committee

8歳の少女サヤカは、赤い電車が通る海沿いの街に住んでいる。
学校で孤独を感じるサヤカは、ペットショップで売れ残りの犬ルーと出会い、シンパシイーを感じる。
一緒に生活することになったサヤカとルーは、ある日まわりから隔絶した原っぱで線路の跡を見つける。
それからのふたりは原っぱに行くたびに線路を掘り起こして、楽しい日々を過ごす。
ところが、臨海学校に出かけた数日の間に愛犬のルーがいなくなってしまう。
「もう戻ってこない」と大人たちは暗にルーの死をほのめかすが、納得できないサヤカはルーの姿を探し求める。
ある日、サヤカは線路の跡が残る原っぱでルーとは違う一匹の犬と出会うが、犬はすぐに姿を消してしまう。
数日後、近所の喫茶店の店先にその犬がつながれているのを発見したサヤカは、店主のフセ老人と言葉を交わす。
実はフセ老人もまた、数十年前に亡くなった息子の死を受け入れられずにいたのだった……。

©2019映画「駅までの道をおしえて」production committee

ありがちな子どもと動物のふれあいの物語ではありません。
サヤカ役の新津ちせちゃんは、犬のルーと実際に1年半をともに過ごしたそうです。
それによってサヤカとルーの間に本物の信頼関係が築かれ、演技を超えた“絆”が観る者に伝わってきます。
映画の前半には、ふたりがじゃれ合うシーンなどがたっぷり描かれていますが、それがとても自然。
そして、愛する者との永遠の別れをどのように受け入れていくのかを、思いがけないラストシーンで教えてくれます。
今でも目を閉じるとそのラストシーンが蘇ってきて、なぜか幸せな気持ちになる私です。
みなさんは、どのように感じられるのでしょうか……。

©2019映画「駅までの道をおしえて」production committee

原作:伊集院静「駅までの道をおしえて」講談社文庫
監督:橋本直樹
出演:新津ちせ 笈田ヨシ 有村架純(モノローグの声のみ)
2019年 日本 125分 配給:キュー・テック
https://ekimadenomichi.com/
10月18日(金)から 神戸国際松竹などで上映中

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