【とっておきシネマ】日本映画『決算!忠臣蔵』
サウンドブランチ 鳥飼美紀です。
2019年・令和元年も残り1か月余り。寒さも本格的になってきましたね。
年末……といえば『忠臣蔵』! と思うのは、忠臣蔵が大好きな私だけでしょうか?
いえいえ、これまで300を超えるドラマ・映画化で多くの日本人に愛されてきたこの物語。
中年以上の世代にとって、年末=忠臣蔵は納得の“定番”ストーリーですよね。
そこで今週は、昨日22日(金)から公開が始まった『決算!忠臣蔵』をご紹介しました。
ただし、この忠臣蔵はいつもと全く違う、これまでになかった視点で描かれています。
一味違った忠臣蔵、オススメです!
今から約300年前。江戸城・松の廊下。
赤穂藩主・浅野内匠頭が吉良上野介に斬りかかる。
通常であれば喧嘩両成敗となるはずが、幕府が下した結論は、赤穂藩のお取り潰しと、内匠頭の即日切腹。
吉良へはお咎めなし。
突然藩主を亡くしたことで、浅野家は断絶、藩士たちは路頭に迷う。
筆頭家老・大石内蔵助は、浅野家復活を願い出るが、御家再興にも当然、お金が必要。
内蔵助は、幼馴染の勘定方・矢頭長助の力を借りて、亡き内匠頭の妻・瑤泉院の持参金をかき集める。
その金額は、およそ 800両(9500万)。
しかし御家再興の願いは幕府の決定であっさり却下。
一方、浪人となった藩士たちは、宿敵・吉良への仇討ちを勝手に計画。
加えて、江戸の庶民たちまでもが、仇討ちを超熱望!
内蔵助は討ち入りを決意したものの、もはや予算残高は、微々たるものに……。
果たして彼らは【予算内】で、一大プロジェクト【仇討】を、無事に【決算】することができるのか!?
とにかく明るい、面白い、テンポが速い、豪華オールスターキャスト、しかも関西弁で楽しませてくれる作品。
武士の“忠義”“仇討ち”のお話が、ぐーんと我々庶民のところまで近づいて、親近感がわいてきます。
まずは、当時1杯16文のお蕎麦が現代のお金に換算すると480円…という設定から物語は始まります。
『忠臣蔵』の最初から最後まで、すべて銭勘定で描かれるというのは、今まで見たことのない視点ですね。
9500万円のお金が、内蔵助やその側近たちの無駄遣いでどんどん減っていくので、観ている者は気が気ではありません。
もちろん、結末は誰もがわかっているので「お金が足らないから仇討ちは諦めた」とはならない。
さらに、笑える場面がたっぷりあるのは想定どおりですが、泣ける場面もちゃんとあります。
ただ…忠臣蔵ファンの私としては、あの場面がなかったのが残念なところです、あの場面が……。。
今まで『忠臣蔵』を見尽くした方にもオススメ、1年の締めくくり映画として是非楽しく観ていただきたい作品です。
原作:山本博文『「忠臣蔵」の決算書』 (新潮新書刊)
監督:中村義洋
出演:堤真一、岡村隆史、濱田岳、横山裕、妻夫木聡、石原さとみ、阿部サダヲほか
2019年 日本 125分 配給:松竹
https://chushingura-movie.jp/
11月22日(金)から、イオンシネマ三田WT、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズ西宮OSなどで上映中
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