【とっておきシネマ】ケン・ローチ監督『家族を想うとき』

サウンドブランチ 鳥飼美紀です。

いよいよ今年も残り1ヶ月、このコーナーでご紹介する作品も、あと3作となりました!
さて、今週のとっておきシネマは、『家族を想うとき』という作品です。
2016の年カンヌ国際映画祭でパルムドールに輝いた『私はダニエル・ブレイク』。
それを最後に引退表明をしていたケン・ローチ監督が、どうしても撮らなければならないという使命で描いた作品です。
時代の変化の中、世界のあちこちで起きている〈働き方問題〉と、そんな社会に翻弄される〈家族の姿〉が切実に私たちの胸に迫ってきます。

photo: Joss Barratt, Sixteen Films 2019

イギリスのニューカッスル。
フランチャイズの宅配ドライバーとして独立を決意したリッキーは、妻のアビーの車を売却して事業資金に充てようとする。
パートタイムの介護士として働くアビーにとって介護先を訪問するために車は必需品だったが、「2年も働けばマイホームが買える」というリッキーの言葉に戸惑いながらも承知する。
しかし、体力限界まで働くリッキーと、介護先へバスで通うアビーは、家族として過ごす時間がどんどん減っていき、息子セブと娘のライザ・ジェーンとの会話もほとんどできなくなる。
そんな中、リッキーがある事件に巻き込まれてしまう──。

photo: Joss Barratt, Sixteen Films 2019

「マイホームが欲しい父と母。でも子供たちの願いはただひとつ~毎日抱きしめて」というコピーが切ないです。
家族のために頑張れば頑張るほど、家族が壊れていく悪循環。
家族にとって、今この時間がどんなに大切なのか……後回しにすると手遅れになってしまう。
それが渦中にいると見えなくなってしまうのでしょうか。
この作品に明快な結末はない……ということは、観客一人一人が自分の見たい結末を想像するしかないのでしょうか。

photo: Joss Barratt, Sixteen Films 2019

原題は『Sorry We Missed You』

監督:ケン・ローチ
出演:クリス・ヒッチェン デビー・ハニーウッド リス・ストーン ケイティ・ブロクター
2019年 イギリス・フランス・ベルギー 100分 配給:ロングライド
https://longride.jp/kazoku/
12月13日(金)から、シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸などで公開されます。

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