WEB版HONEY vol.53 春号『きのこのお話~ニワタケ~』

ニワタケ

きのこのお話

文・岩崎敦弘(兵庫きのこ研究会)/画・岩崎京子(水彩画家)

第51回 ニワタケ

「雑草という名の草はない」 無造作に下草を刈ってしまった侍従に、雑草にもそれぞれに命があることを諭された昭和天皇のお言葉だそうですが、最初に仰ったのは昭和天皇ではなく、植物学者の牧野富太郎さんだそうです。キノコの世界にも「雑草」扱いされているものがあって、代表的なものはSBMと呼ばれています。スモール・ブラウン・マッシュルーム。小さくて茶色の、取るに足りないキノコという意味で、こちらは「雑草」と違って、本当に名前のないものがたくさんあります。

ニワタケはSBMではありません。サイズ的にはかなり大きくなるのですが、可哀そうなくらいに存在感のないキノコです。 キノコ仲間の集まりで話題に上ることはまずありませんし、たまに名前を聞いても、姿を思い浮かべるのに一瞬間があいてしまいます。

人気のない理由の一つはそのビジュアル。特に奇抜な姿をしているわけでもなく、美しくはないけど醜悪でもありません。柄には剛毛が生えているしヒダとの境界はとても特徴的。初心者でも見間違えることのない面白みのなさ。二つ目には食べられないこと。毒はないようですが、食べたことのある方の話では、食後いつまでも不快な苦みが口の中に残るそうで、二度と口にしたくないそうです。

キノコを始めた頃にはそんなニワタケでも、キチンと観察して写真に収めていました。それなのに最近は….。 珍しいキノコではないので、目にはしているはずなのですが、もう何年も出会った記憶がありません。雑草扱いにしていること。反省です。

兵庫きのこ研究会 https://hyogo-kinoko.jp/

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