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【とっておきシネマ】『沈黙のレジスタンス~ユダヤ孤児を救った芸術家~』(アメリカ・イギリス・ドイツ)

毎週金曜日、夜9時からおおくりしている最新シネマ情報番組「とっておきシネマ」の鳥飼美紀です。
今週ご紹介した映画は、パントマイムの神様マルセル・マルソーの知られざる物語『沈黙のレジスタンス~ユダヤ孤児を救った芸術家~』です。

©2019 Resistance Pictures Limited.

【STORY】
1938年のフランス。
チャップリンのようなアーティストとして生きることを夢見る青年マルセル。
彼は、昼間は父親の営む精肉店で働き、夜はキャバレーでパントマイムを披露していた。
そんな中、第二次世界大戦が激化し、マルセルは兄のアランや仲間たちと共に、ナチに親を殺されたユダヤ人孤児達の世話をすることになる。
ドイツから国境を越えてやって来た子ども達は、深い悲しみと緊張に包まれていた。
マルセルは得意のパントマイムで子ども達に笑顔を取り戻させ、いつしか彼と子供たちの間に固い絆が生れていく。
だが、ナチの勢力は日に日に増大し、1942年には遂にドイツ軍がフランス全土を占領してしまう。
マルセル達は、険しく危険なアルプスの山を越えて子供たちを安全なスイスへと逃がす計画を立てるが……。

©2019 Resistance Pictures Limited.

【REVIEW】
このチャップリンのようなアーティストを夢見ていた青年マルセルとは、パントマイムで有名なマルセル・マルソーのこと。
白塗りの顔、ボーダーシャツに花の付いたシルクハットの「ビップ」は、戦後にマルセルが創造したたキャラクター。
それがパントマイムの一般的なイメージと認知されるほど世界中に影響を与え、彼は「パントマイムの神様」と呼ばれる。
パントマイムをほとんど見ることのない私でも、その第一人者は?と聞かれると、マルセル・マルソーと答えられるほど有名な人物である。
あのマイケル・ジャクソンの「ムーン・ウォーク」は、マルセルのパフォーマンスからヒントを得たというエピソードもあるそうだ。

©2019 Resistance Pictures Limited.

2007年、マルセル・マルソーは84歳でパリで死去した。
そのマルセルが、第二次世界大戦中には何をしていたのか?
ナチと協力関係にあったフランス政権に立ち向かうべく、レジスタンス運動に身を投じていたという。
そして、ユダヤ人孤児123人の命を救った……その実体験が今回の映画となったのである。
マルセル自身もユダヤ系で、父親はアウシュビッツ強制収容所で亡くなっているという事実も知っておきたい。

©2019 Resistance Pictures Limited.

劇中、子ども達を連れてスイスへと逃げる列車の中で、冷徹で残虐なドイツ軍中尉のパスポート検査を受ける。
偽造が見破られて正体がバレると、全員の命が奪われる!
そんな息詰まるような恐怖を、私たち観客も同時に味わう緊張のシーンだ。
それでも、命をつなぐことこそ真のレジスタンス(抵抗)だと、子ども達の命を守ろうとするマルセルらの勇気と使命感に心が震える。
ラストにマルセルがアメリカ軍の兵士たちの前でパントマイムを披露するシーンは印象的だ。
マルセルが何をどう演じたかということより、見る者ひとりひとりが何をどう感じるのか……。
それが、沈黙のパフォーマンスである「パントマイム」の醍醐味なのだと気づかされる。
現在、世界中で人種や国籍や宗教などの違いから起こる「憎悪感情」が高まっているからこそ作った映画だと、監督は語る。
確かに、そんな今だからこそ観ておきたい映画である。

監督:ジョナタン・ヤクボウィッツ
出演:ジェシー・アイゼンバーグ クレマンス・ポエジー マティアス・シュヴァイクホファー
2020年 アメリカ・イギリス・ドイツ 120分 配給:キノフィルムズ
https://resistance-movie.jp/
8月27日(金)~大阪ステーションシティシネマ TOHOシネマズ西宮OS などで公開

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