毎週金曜日、夜9時からの最新シネマ情報番組「とっておきシネマ」、鳥飼美紀です。
今週は日本映画を2本!ご紹介しました。
2作品ともタイトルがユニークという共通点はありますが、内容は全く違いますよ。
どちらか……というより、どちらも観ていただきたいというのが、わたくし鳥飼の気持ちです。
まずは、経営悪化で閉館間際の映画館を立て直そうと奮闘する女性の物語『浜の朝日の嘘つきどもと』。
【STORY】
福島県・南相馬、「朝日座」という映画館をめぐる物語。
経営が傾いたこの映画館を立て直すために、ある日突然現れた茂木莉子と名乗る女性。
「朝日座」の支配人・森田は、既に閉館が決まり打つ手はないと諦めていたが、莉子の熱意に少しずつ心を動かされていく。
実は、茂木莉子が強引ともいえる姿勢でこの映画館の立て直しを買って出たのは、「ある人との約束」があったからなのだ──。
【REVIEW】
この「朝日座」という映画館は福島県南相馬市にほんとうに存在する。
1923年(大正12年)に芝居小屋として開館し、長い歴史の中で様々な災禍を逃れ、現在も街の人々の暮らしに寄り添っている。
その映画館を舞台に監督のタナダユキさんが脚本を書き、福島中央テレビ開局50周年記念作品としてテレビドラマも同時製作されたという。
東日本大震災から10年、映画館をとり巻く時代も変わり、コロナの影響も大きい、そんな今だからこそエンタメ文化へのエールともなる作品なのだ。
特に印象に残ったのは、主人公茂木莉子(実は本当の名前はちゃんとある)の恩師である田中茉莉子先生。
演じているのは大久保佳代子さんだが、監督の求める「ダメな大人の憎めない可愛さ」を100%表現できている。
教師としては優秀だが、女性としては「男にだらしない」という欠点がある茉莉子先生。
恋人にフラレるたびに必ず観るのが『喜劇 女の泣きどころ』という映画のDVD。
これを見て号泣し、さっぱりして立ち直る……ということを繰り返している人生なのだ。
そんな田中先生から『映画』を愛する心を教えてもらった主人公が、たちゆかなくなった映画館を復活させようと頑張る物語。
映画好きなら、是非見ておきたい作品。
脚本・監督:タナダユキ
出演:高畑充希 柳家喬太郎 大久保佳代子
2021年 日本 114分 配給:ポニーキャニオン
https://hamano-asahi.jp/
今日9月10日(金)~テアトル梅田、来週9月17日(金)~シネ・リーブル神戸で公開