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【とっておきシネマ】ドイツ・フランス・ベルギー製作『ぼくは君たちを憎まないことにした』

金曜夜9時からおおくりしている、最新映画情報番組「とっておきシネマ」の鳥飼美紀です。
今週は、『ぼくは君たちを憎まないことにした』という、タイトルだけでそのメッセージ性が感じられる作品です。
パリ中心部にあるコンサートホールのバタクランでのライブ中に 3 人の男たちが1500 人の観客に銃を乱射し、立てこもる。
また、パリ郊外のスタジアムで行われていたサッカー親善試合や周辺のレストランで、過激派組織「ISIL」の戦闘員が自爆テロを起こす。
この2015年に発生したパリ同時多発テロで妻を亡くした主人公が、事件後2週間の出来事を綴った世界的ベストセラーの映画化です。

© 2022 Komplizen Film Haut et Court Frakas Productions TOBIS / Erfttal Film und Fernsehproduktion

【STORY】
2015年11月13日金曜日の朝。
ジャーナリストのアントワーヌ・レリスは息子のメルヴィルと一緒に、仕事に急ぐ妻のエレーヌを送り出した。
息子のために健康的な朝食を手作りして体調管理に気を配り、おしゃれでユーモアのセンスもある最高の母であり最愛の妻が、突然、天国へ行ってしまった。
そんな時でも息子はお腹を空かせ、砂遊びをし、絵本の読み聞かせをねだる。
誰とも悲しみを共有できない苦しみと、これから続くワンオペ育児への不安をはねのけるように、アントワーヌは手紙を書き始めた。
妻の命を奪ったテロリストへの手紙は、息子と二人でも「今まで通りの生活を続ける」との決意表明であり、亡き妻への誓いのメッセージ。
一晩で 20万人以上がシェアし、新聞の一面を飾ったアントワーヌの「憎しみを贈らない」詩的な宣言は、動揺するパリの人々をクールダウンさせ、テロに屈しない団結力を芽生えさせていく。

監督は、ドイツのキリアン・リートホーフ監督。
メルヴィルと同じ年頃の子を持つ監督は、アントワーヌの手記を読んで心打たれ、すぐさま映画化を決断。
ドイツ人の立場からフランスの悲劇を客観的に見つめ、平明な言葉で憎しみの連鎖を拒絶するアントワーヌに焦点を当てた。
その夜、バタクラン劇場には、ライブを楽しむ妻エレーヌとその友人がいた。
安否確認すらままならないカオスの中で、やっと2 日後に判明したのは、エレーヌが犠牲となったという受け入れがたい事実だった。
愛する妻の命が奪われたことを悲しんでばかりはいられない。これから一人で息子を育てていかなければならないのだ。
その現実を理性的に受け入れようとアントワーヌは努力し、憎しみの連鎖に巻き込まれないよう自らを律し、息子との新しい生活を受け入れる決意表明をSNSに書き込む。
しかし、そうはいっても現実は辛い。1日1日が辛い。感情をコントロールできない日もある。
そんな揺れ動くアントワーヌの心を丁寧に描いた2週間の物語。
悪を赦す……ということではなく、悪に負けない……という決意が胸を打つ。
テロから 1 年後に、現場となったバタクランはエンターテインメントを愛する人々に支えられ全面改装して再オープンし、現在も人気の会場として営業を続けているという。
最愛の人の命がテロによって突然奪われた時、その事実をどのように受け止め、どのような行動に出るのか……自分事として、観ていただきたい。

監督・脚本:キリアン・リートホーフ
原作:アントワーヌ・レリス『ぼくは君たちを憎まないことにした』
出演:ピエール・ドゥラドンシャン カメリア・ジョルダナ
2022 年/ドイツ・フランス・ベルギー/102 分
配給:アルバトロス・フィルム https://nikumanai.com/

11月10日(金)全国ロードショー 関西の劇場は、大阪ステーションシネマ TOHOシネマズなんば 京都シネマ TOHOシネマズ西宮OS

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