みなさま「おばんです」山形県出身の内藤美保がお送りする「きてみで(来てみて)東北」。この番組は東北各地の紹介と、東北弁で語る民話をお届けしています。
さて、今日紹介する東北の話題は、福島県相馬市で5月24日土曜から26日月曜に行われる「相馬野馬追」です。
令和5年まで毎年7月に開催されていましたが、近年の酷暑で人や馬に健康被害がおきたため、昨年から5月開催に変更されました。
相馬野馬追は、相馬中村、太田、小高神社の三つの妙見社の祭礼です。
「野馬追」の起源は、今から一千年以上前、相馬氏の遠い祖先とされる平将門が下総国小金ヶ原(現在の千葉県流山市付近)に野生の馬を放して、
その馬を敵兵に見立て追う軍事練習として、さらに毎年捕らえられた野生の馬、野馬を神の馬、神馬として神前に奉納した神事が始まりと言われています。
その後、相馬氏は、元亨3年(1323)頃、奥州行方郡(現在の南相馬市)に移り住んでからも、代々の相馬領主が明治維新まで「野馬追」を続けてきました。
現在でも総大将は相馬氏の子孫が受け継いでいるそうです。
25日の本祭りは早朝から総大将の指揮のもとそれぞれの郷の騎馬が勢ぞろいします。
先祖伝来の甲冑に身をかためた総勢約四百騎の騎馬武者が出陣し、御本陣・雲雀ヶ原の相馬野馬追祭場地までおよそ3kmを行軍します。
騎馬隊が祭場地に到着し、式典が行われた後、それまで被っていた兜を脱いで、白鉢巻 をしめた 甲冑 姿の若武者の騎馬が、十頭立てで一周1000mの速さを競う甲冑競馬が行われます。
駆ける馬と騎馬武者たちの迫力ある姿に圧倒されます。
その後、本祭りのメインイベントの神旗争奪戦が行われます。山頂の本陣から戦闘開始の陣螺(じんがい)が鳴り渡ると、騎馬武者たちが雲雀ヶ原一面に広がります。
天中高く打ち上げられた花火が炸裂し、二本の御神旗がゆっくり舞い降りてくると、騎馬武者が駆け出し、鞭を振りかざして勇猛果敢に御神旗を奪い合います。
雲雀ヶ原祭場地は戦場と化し、祭りは最高潮に達します。
最終日の26日に相馬小高神社境内で行われる野馬懸は、多くの馬の中から神の思召しにかなう馬を捕らえて神に奉納する神事です。
祭りに仕える御小人達十数人がお祓いを受け白鉢巻、白装束で、竹矢来に入った馬の中から屈強な馬を見定め、御小人総がかりで素手で捕えます。
一番初めに捕えた馬は、地域の平安の祈りを込めて神馬として神前に捧げ、他の馬は駒ぜりでせり落とされ、観衆からの拍手喝采を浴びます。
この野馬懸をもって、「野馬追」のすべての行事が終わります。
今回は5月24日から26日まで行われる「相馬野馬追」を紹介しました。
ではここから、東北弁で語る民話をお送りします。今回は岩手県で語られていた民話「馬追い鳥」です。
お話に出てくる「馬放し」は「放牧の仕事」、「馬をぼったり」は「馬を追いかけたり」、「くられる」は「しかられる」という意味です。