猛暑が続いていますが、皆さんお元気ですか? サウンドブランチ 鳥飼美紀です。
今週ご紹介したとっておきシネマは、少し前に衝撃の関係を公表した豊原功補さんと小泉今日子さんのプロデュース作品です。
いったい、彼らはどんな映画を作り、どんなメッセージを世に放ったのだろう? そんな興味が私にはありました。
監督は、短編映画では世界的に高く評価されている、若き外山文治監督です。
「豊原さんと小泉さんに背中を押してもらった」と語っています。
俳優を目指しながら結果を出せず、オレオレ詐欺に加担して食いつないでいる翔太。
ある夏、故郷・和歌山の高齢者施設で演劇を教えることになった彼は、施設で働くタカラという女性と出会う。
数日後、タカラを襲う事件に偶然巻き込まれた翔太は、絶望するタカラの手を取り衝動的に逃走する。
こうして、翔太とタカラ、ふたりの逃避行の旅が始まった。
翔太は「かくれんぼ」のつもりで、タカラは「かけおち」だと言って…。
和歌山が舞台で、紀州道成寺にまつわる「安珍・清姫」伝説が劇中劇として出てきます。
激しい内容の伝説ですが、ラスト近くに翔太とタカラが演じた安珍・清姫の1シーンは、何故か神々しく感じました。
ラブストーリーではないのですが、人との出会いや、共に時を過ごすことの大切さが描かれています。
特に、タカラ役の芋生悠(いもうはるか)さんには、内田也哉子さんとか原田美枝子さんのような「肝の据わった女性」の匂いがします。
これから存在感のある女優さんになっていくのかな…と、将来が楽しみな女優さんです。
タイトルの「ソワレ」とは、フランス語で「夕方、夜」という意味だそうです。
そういえば、舞台などでは、昼公演を「マチネ」、夜公演を「ソワレ」と呼びますね。
芋生悠さんはタイトルについて、「自分が望む朝を迎えるための夜(ソワレ)。その夜をどう過ごすか。それが“朝”を迎えられるかどうかの鍵になる」と語っています。
確かに、自分が望む朝を目指して人は何度でも生まれ変わることができる…そんなことを教えてくれる作品のような気がします。
それにしても、村上虹郎さん・芋生悠さん、ふたりは逃亡しているわけで、真夏の和歌山の山や街を走って走って逃げるのです。
そんなシーンが何度もあり、主人公ふたりの若さをいやというほど感じました!
監督:外山文治
出演:村上虹郎 芋生悠 ほか
2020年 日本 111分 配給:東京テアトル PG12指定
https://soiree-movie.jp/
8月28日(金)から、テアトル梅田、シネ・リーブル神戸などで公開されます。