鳥飼美紀が毎週金曜日夜9時からおおくりしている「とっておきシネマ」。
今週は、12月4日(金)公開の『ノッティングヒルの洋菓子店』をご紹介しました。
大切な人を亡くした3人の女性が、奮闘・協力して洋菓子店を開くというスイーツ好き必見の作品です。
【STORY】
ロンドン、ノッティングヒル。
パティシエのサラと親友のイザベラは、念願の洋菓子店をオープンすることに。
ところが、店のオープン直前にサラが事故で急死してしまう。
サラとの夢を諦めきれないイザベラは、サラの母ミミと娘クラリッサを巻き込んで、パティシエ不在のまま開店を目指す。
そんな3人の前に現れたのは、ミシュラン二つ星のレストランで活躍するスターシェフのマシュー。
若かりし頃、マシューとサラとイザベラはパリの製菓学校で共に学んだ仲、しかも彼はサラのボーイフレンドだった。
マシューをパティシエに、「ラブ サラ」と名付けられた洋菓子店は、いよいよオープンの日を迎える。
パティシエへの夢を一旦は諦めていたイザベラと、マシューを父親かもしれないと疑うクラリッサ。
そして、サラとは絶縁状態のままだった母親のミミ……。
それぞれの思いを抱えた彼女たちは、果たしてサラの夢を叶えることができるのか――。
【REVIEW】
オープニングは、何かが新しく始まろうとしている予感と躍動感に満ちている。
しかし、本来ならこの物語の主人公であるはずのサラが、早々に事故死してしまう。
悲しみと戸惑いの中にいるイザベラたち3人の女性の前に現れたのが、マシューというシェフ。
彼が現れたことで、店のオープンが一気に加速していく。
サラという1本の幹にイザベラ、クラリッサ、ミミ、マシューという枝、さぁどんな花が咲くのだろう。
うれしい驚きは、店が成功するきっかけとなるのが、日本発のあの緑色をしたケーキなのだ!
「美味しいだけでなく、見た目が美しく、作る過程がエレガントで繊細」という理由で大役を射止めたとか。
そのほかにも、色とりどりのスイーツがたくさん出てくるのが、目にも美味しい。
甘いもの苦手な私も、「食べてみたいな~」と思うくらいだから、スイーツ好きの人にはたまらないだろう。
そのスイーツはロンドンの有名デリ<オットレンギ>が全面協力している。
ネットでオットレンギの画像を見ると、お店の外観や商品の陳列などがこの映画のお店「ラブ サラ」とよく似ている。
テイクアウトでもイートインでもOKという大人気のデリの洋菓子を通じて、伝統と多文化が入り混じるロンドンが垣間見える。
監督は、エリザ・シュローダーというドイツ出身の女性で、自身もフランス人の夫と3人の子供たちとノッティングヒルで暮らしている。
彼女はノッティングヒルを、「多様性と様々な色彩があり、世界中から来た人々が住み、インスピレーションを与えてくれる場所」と語る。
そして、元々スイーツに関心があった上に、数年前に母親を亡くし「死」というテーマを尊厳ある方法で描きたいと思い、この作品に取り組んだとか。
イザベラの親友であり、クラリッサの母であり、ミミの娘であるサラは亡くなったが、彼女の死は遺された者を悲しませるだけではなかった。
サラとともに夢見た未来を実現する過程で、彼女たち自身の未来も変えていくというポジティブな物語になっている。
そして、姿は見えないけれどサラもちゃんと作品の中に存在しているのが感じられて、監督の思いが静かに伝わってくるのだ。
監督:エリザ・シュローダー
出演:セリア・イムリー シャノン・ターベット シェリー・コン ルパート・ペンリー=ジョーンズ ビル・パターソン
2020年 イギリス 98分 配給:アルバトロス・フィルム
https://nottinghill-movie.com/
12月4日(金)から、テアトル梅田 シネ・リーブル神戸などで公開
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