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【とっておきシネマ】アメリカ映画『コーダ あいのうた』

毎週金曜日、夜9時からの「とっておきシネマ」、鳥飼美紀です。
今週のおすすめ映画は、アメリカ映画『コーダ あいのうた』という作品です。
耳の聞こえない家族の中でただ一人耳の聞こえる少女が、歌うことを夢見ます。
夢を叶えるための道を進むか、夢を諦めて家族と共に生き支えていくか・・・究極の選択ながら、爽快な感動作となっています。
2015年に日本でも公開されたフランス映画「エール!」のハリウッド版リメイクで、サンダンス映画祭でグランプリや観客賞など4冠に輝きました。

© 2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS

【STORY】

豊かな自然に恵まれた海の町で暮らす高校生のルビーは、両親と兄の4人家族の中で一人だけ耳が聞こえる。
陽気で優しい家族のために、ルビーは幼い頃から“通訳”(手話)となり、家業の漁業も毎日欠かさず手伝っていた。
新学期、秘かに憧れるクラスメイトのマイルズと同じ合唱クラブを選択するルビー。
すると、顧問の先生がルビーの歌の才能に気づき、都会の名門音楽大学の受験を強く勧める。
だが、ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じられず、家業の方が大事だと大反対。
さぁ、ルビーはどうする? どうなる?

© 2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS

【REVIEW】

主人公のルビーには、“NEXTエマ・ワトソン”と言われ人気沸騰中のエミリア・ジョーンズ。
そしてルビーの家族を演じるのは、『愛は静けさの中に』のオスカー女優マーリー・マトリンを始め、全員が実際に耳の聞こえない俳優たち。
これはフランス版『エール!』も同じで、実際に耳の聴こえない俳優が演じた。

© 2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS

タイトルになっている<CODA(コーダ)>というのは、Children of Deaf Adults= “耳の聴こえない両親に育てられた子ども”の意。
また、音楽用語として楽曲や楽章の締めを表す、つまり新たな章の始まりという意味もあるそうだ。
まさにコーダである主人公のルビーは、幼い頃から家族の通訳として生きてきたので、とてもしっかり者。
漁師である父と兄の耳代わりに一緒に船に乗る。
父と兄は海の男だから、ガラッパチな言葉もバンバン出てくるが、ルビーは負けていない。
生きていくうえで耳が聴こえないことでの不利益も多々あるが、そんなことでくよくよしない基本的に明るい家族なのだ。
合唱部で歌うことの素晴らしさを知ったルビーは、その才能を生かす大学に進学したいと思うけれど、金銭的に難しい。
その上、ちょうど家族のおかれた環境も大きく変化しようとしていて、両親は通訳としてのルビーを手放したくなかった。

© 2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS

だが兄だけはルビーをちょっと別の目で見ている。
ルビーには自分の夢を叶えてほしいと思うと同時に、これからは兄自身が両親を支え家族の核になりたいと思っているのだった。
さぁ、ルビーは我が道を行くか、夢を諦めて家族と共に生きていくか……二つに一つの選択を迫られる。
クライマックスシーン、客席の後ろで聴く両親と兄のためにルビーはある方法を使って歌う。
それはいつもルビーがしている自然な行為だからこそ、私たち観客の胸を打つ感動のシーンとなっている。

監督・脚本: シアン・ヘダー
出演: エミリア・ジョーンズ フェルディア・ウォルシュ=ピーロ マーリー・マトリン トロイ・コッツァー ダニエル・デュラント
2021年 アメリカ 112分 配給:ギャガ
https://gaga.ne.jp/coda/
2022年1月21日(金) TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
兵庫では、OSシネマズミント神戸 TOHOシネマズ西宮OS イオンシネマ三田ウッディタウンなどで公開

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