【とっておきシネマ】タイ映画『プアン/友だちと呼ばせて』

金曜の夜9時からおおくりしている「とっておきシネマ」の鳥飼美紀です。

皆さんは、2017年製作『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』という映画をご存じですか?
天才少女を中心とした高校生チームが、世界規模のカンニング・プロジェクトに挑む姿を描いた作品。
スタイリッシュなクライム・サスペンスで、タイでは大ヒットを記録し、世界中が注目しました。
その監督バズ・プーンピリヤ監督の最新作が、今週ご紹介した「プアン/友だちと呼ばせて」です。
プアンとは、タイ語で友だちという意味。
余命宣告を受けた男性とその親友の、最期の旅を描いたロードムービー&人間ドラマです。

©2021 Jet Tone Contents Inc. All Rights Reserved.

【STORY】
ニューヨークでバーを経営するボスのもとに、タイで暮らすウードから数年ぶりに電話が入る。
白血病で余命宣告を受けたので、最期の頼みを聞いてほしいというのだ。
バンコクに駆けつけたボスが頼まれたのは、 元カノたちを訪ねる旅の運転手。
カーステレオのカセットテープから流れる思い出の曲が、二人がまだ親友だった頃の記憶を呼びさます。
かつて輝いていた恋への心残りに決着をつけ、ボスのオリジナルカクテルで旅の仕上げをするはずだった。
が、旅の終わりに、ウードがボスの過去も未来も書き換える“ある秘密”を打ち明ける──。

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【REVIEW】
製作総指揮に香港映画の巨匠ウォン・カーウァイ監督の名がクレジットされている。
プーンピリヤ監督の前作『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』に惚れこんだカーウァイ監督が「一緒に映画を作ろう」とラブコールして実現したのが本作。
ストーリー作りから音楽まで、カーウァイ監督からさまざまなアドバイスがあったという。
そして、実話ではないものの、プーンピリア監督のパーソナルな思い出などがふんだんに盛り込まれた作品が出来上がったのだ。
スタイリッシュなクライム・サスペンスの前作とは全く違った、心揺らすロードムービーとなっている。

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映画の前半と後半でガラッと物語が変わるのが、この作品の大きな大きな見どころとなる。
前半、ウードが余命宣告を受けたという重い事実はあるが、二人が「元カノ巡り」をする旅は、青春の記憶がよみがえり切なくも懐かしい。
ウードの亡き父親の車で二人は旅に出るが、かつてDJをしていた父親の番組を録音したカセットテープをカーステレオで流すシーンはノスタルジック!
しかし後半、その旅が終わった後にウードが“ある秘密”をボスに語りだす~それは、これまでのようにボスがウードの親友として聞ける話ではなかった……。

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ウードが思い残すことなく旅立つために、ボスに告白しなければならなかった“ある秘密”とは……。
映画の冒頭に、バーを経営するボスがシェーカーを振ってカクテルを作るシーンがある。
このカクテルというアイテムが、後半のドラマティックな物語を彩ることになり、私たち観客の心をざわつかせる。

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役のために17キロも瘦せたというウード役のアイス・ナッタラット。
病魔に侵されてどんどん容貌や体形が変わっていくのがとてもリアルで、本当に死んでしまうのではないかと心配になったほどだ。
でも、余命や闘病がこの映画のテーマではない。
ラストでは、きっと観客の心に後味の良い安堵感が広がることだろう。

監督:バズ・プーンピリヤ
出演:トー・タナポップ アイス・ナッタラット
2021年/タイ/129分/配給:ギャガ
https://gaga.ne.jp/puan/
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