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【とっておきシネマ】日本映画「あちらにいる鬼」

今週のとっておきの映画、もう1本は井上荒野原作の「あちらにいる鬼」。
作家・井上光晴の長女である著者が、父、母、そして瀬戸内寂聴をモデルに、3人の特別な関係を描いた作品です。
〈愛〉とは何か、〈書くこと〉とは何か、そして〈作家〉とは……。

©2022「あちらにいる鬼」製作委員会

【STORY】
1966年、講演旅行をきっかけに出会った作家の長内みはると白木篤郎は、それぞれにパートナーや妻子がありながら男女の仲となる。
もうすぐ第二子が誕生するという時にもみはるの元へ通う篤郎だが、自宅では幼い娘を可愛がり、妻・笙子の手料理を絶賛する。
奔放で嘘つきな篤郎、そんな篤郎にのめり込むみはる、全てを承知しながらも心乱すことのない笙子。
緊張をはらむ共犯とも連帯ともいうべき3人の関係性が生まれる中、みはるが突然、篤郎に告げた。
「わたし、出家しようと思うの」……。

©2022「あちらにいる鬼」製作委員会

【REVIEW】
昨年の11月9日に99歳で天国へ旅立った、作家であり僧侶の瀬戸内寂聴。
恋愛に生き、その情熱を作品に昇華させる半生を送った彼女に出家を決意させた妻子ある作家・井上光晴。
ふたりの7年にも及ぶ道ならぬ恋、それを井上の長女(井上荒野)が書いた……ということに、まずは衝撃を受ける。
小説の執筆にあたっては生前の寂聴が快く取材に協力したというが、その関係性もお互いの作家魂も凄いではないか。

©2022「あちらにいる鬼」製作委員会

主人公みはるは、白木と出会った時すでに、4歳の娘を置いて婚家を出て20年ほど経ていて年下の男と暮らしている状況だった。
にもかかわらず、みはるは恋に落ちるが、妻子もいて自殺未遂をするような愛人もいる白木は、どうやら女にだらしがない。
そんな白木を何があっても責めることもなく、取り乱すこともなく、尻拭いまでやってのける妻笙子。
みはると白木、そして笙子という強者(つわもの)どもの恐るべき三角関係。
この関係に終止符を打つには出家しかないと決心するみはるは、「出家とは生きながら死ぬこと」だと言う。
どちらかが死ななければ終われない愛とは……何と凄まじい。

出家前に、みはるが白木に髪を洗ってもらうシーンが印象的だ。
男と女の生々しい関係を超越した穏やかな情景、幼子のようなみはるの表情がいつまでも記憶に残る。

監督:廣木隆一 脚本::荒井晴彦
原作:井上荒野「あちらにいる鬼」(朝日文庫)
出演:寺島しのぶ 豊川悦嗣 広末涼子 高良健吾 村上淳 蓮佛美沙子 佐野岳 宇野祥平 丘みつ子
2022/日本/139 分/配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ (R15+)
https://happinet-phantom.com/achira-oni/
11月11日(金)~梅田ブルク7 大阪ステーションシティシネマ kino cinema 神戸国際などで公開

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