みなさま「おばんです」山形県出身の内藤美保がお送りする「きてみで(来てみて)東北」。
この番組は東北各地の紹介と、東北弁で語る民話をお届けしています。
さて、今日紹介する東北の話題は、岩手県一関市で毎年2月11日に行われる「一関市大東大原水かけまつり」です。
この水かけまつりは、裸の男達が沿道で待ち構えた人達から容赦なく冷水を浴びせかけられながら
「火防祈願」「無病息災」「家内安全」などを願って走る、江戸時代から続く伝統的な祭りです。
この祭りは明暦3年(1657年)旧正月の18日に江戸の町を焼き尽くすほどの大火事「明暦の大火」が起きた際、
江戸幕府から全国に発せられた「火防令」を受けて、この地区の人々が大火の翌年から旧正月に町を流れる川で身を清め火防祈願したのが始まりとされています。
やがてその行事が、裸の男達を迫りくる炎に見立て水をかける防火演習と、水で清めて厄を落とすという意味で、走り抜ける厄年の男達に水をかける祭りに発展しました。
そして現在では、厄年でない男達も所願成就の願いを込めて走る様になり、
毎年全国から300名もの裸の男達が集まり、さほど広くない商店街の通りを3万人以上の観客が埋め尽くすほどの規模となっています。
しかし、この祭りは「女人禁制」で、女性は走ることも水をかけることも許されていません。
それは、祭りのきっかけとなった明暦の大火が「振袖火事」と言われており、病死した娘の振袖を寺で焼いた火が燃え広がったのが原因とされているからです。
水かけ祭りを走る裸の男達は走る前に、地元の八幡神社で厄払いと安全祈願の祈祷を受けお札を頂きます。
その男達の背中には願い事や勤務先のPR、感謝の言葉などが書かれています。
中には思わず吹き出してしまう様なことが書かれていて、どんなことが書かれているのか見るのも楽しみの一つです。
午後3時、さらし姿にわらじ履きの裸の男達が一斉に走り出します。
同時に沿道からは容赦ない冷水が浴びせられ、水をかけられる男達は「痛い痛い」と言いつつ必死の形相で駆け抜ける者、
笑顔で歓声を発する者、「もう無理」と言わんばかりに半べその者など、様々な表情で駆け抜けていきます。
また、水をかける方も普段は絶対にありえない他人に思いっきり水をかける快感に浸り、自分もずぶ濡れになっていることを忘れて盛り上がるそうです。
女人禁制の水かけ祭りですが女性も見物はOKで、毎年たくさんの女性達が、走る男達の応援に訪れます。
ただし、このお祭りは観客もずぶ濡れになるので、合羽やポンチョが必要とのこと。
今回は2月11日に岩手県一関市で行われる「一関市大東大原水かけまつり」を紹介しました。
ではここから、東北弁で語る民話をお送りします。
今回は 岩手県で語られていた民話「旦那どのぎつね」です。
お話に出てくる
「山たでで」は「山に向かって」
「たのむし」は「頼母子講(たのもしこう)」
「かでってぇ」は「参加してもらいたい」
「おでっておぐれんせ」は「お出かけください」
「鼻かまりしながら」は「においをかぎながら」という意味です。