今週は、9年ぶりの最新作にしてシリーズ完結編という、大人気ロマンティック・コメディ『ブリジット・ジョーンズの日記』をご紹介! 東宝東和さんの試写会にご招待いただき、ひと足先に観てきました。何をやってもドジだけれど、いつも前向きに爆走し、恋もキャリアも大事な女性の本音を体現した主人公ブリジットが、アラフィフになって帰って来ました。これでシリーズ完結なんて寂しいですね。
~シネマエッセイ~
今朝、車で出かけたら、近所の中学校の入学式なのか正装した人たちが連れ立って歩道を歩いて行く。新しい年度がスタートしたのだ。川沿いの桜は満開で、ときおりその花びらがフロントガラスに転がってくる。きっと新一年生の胸の中には、ワクワクする期待とドキドキする不安が入り混じっているのだろう。ふと、自分の中学入学のシーンを思い出す。式が終わり体育館に残った私たち一年生は、期待と不安を胸に床に座ってクラブ活動の勧誘説明を聞いていた。運動オンチな私は最初から体育系のクラブには興味がなく、かといって手芸や美術、音楽系にもいまひとつ惹かれない。唯一面白そうだと思ったのが「新聞部」だった。本や漫画を読むのが好きだったから、活字に携われるのが魅力的だった。新聞部の部長は3年生のAさんという男子生徒で、シュッとした外見と洗練された喋り方が印象的だった。私は傍目にも興味津々でその説明を聞き入っていたのか、隣のクラスの列に並んでいた女子生徒から「新聞部、一緒に入らない?」と誘われてしまった。彼女はHさんといって、私とは違う小学校から入学していて、少し大人びたしっかり系の女子。意気投合して一緒に新聞部に入った。そのうちクラブ活動だけでは物足りなくなり、交換日記も始めた二人。2冊のノートを用意して、お互いが毎日の思いをあれこれ書いて、登校後に交換する。読んだ本のこと、テレビの話題、家族のエピソードなど、まるで毎日が作文の授業のようで楽しかった。しかし、何か月か続いたその交換日記も、突然のジ・エンドを迎えることになる。ある日、私は思いきってA部長が気になる……と書いてHさんに渡した。ところが、Hさんから渡された日記にも同じ内容が書かれていたのだ。要するに、Hさんと私は同時にA部長に恋をし、その告白を同じ日の交換日記に書いてしまったのだった。すわっ、三角関係! となるかと思いきや、まだまだ子どもの13歳。二人とも何故か急に醒めてしまって、恋も交換日記もそれっきりになってしまった。ついでに新聞部もフェードアウト気味に退部と相成る。Hさんとの友情はそれからも結婚するまで続いたが、いつのまにか音信不通になってしまった。
映画『ブリジット・ジョーンズの日記』は、どのシリーズも恋愛なしには始まらない。彼女の日記には、いつも恋にジタバタしているブリジットの気持ちが綴られていた。何があってもポジティブに人生を歩むブリジットだが、今回は夫を亡くした悲しみがそこはかとなく滲むストーリーになっている。シリーズ完結とのことだが、シニアになっても恋にジタバタするブリジットを、スクリーンで観たいと思うのは私だけではないはず……。

©2025Universal Pictures
弁護士のマークは4年前にスーダンの人道支援活動中に命を落とし、2人の子供の母親ながら再びシングルになったブリジット。立ち直れない日々が続いていたが、親友たちや元彼・ダニエルにも支えられ、仕事に復帰。更に、公園で出会った29歳のロクスターとアプリで繋がり、意気投合。一方、厳しい理科教師のミスター・ウォーラカーとは、彼の息子ビリーへの真摯な優しさを知り、次第に距離が縮まる。子育てや仕事に追われながら「いつでもマークが恋しい」と子供に話すブリジットだが……。

©2025Universal Pictures
監督:マイケル・モリス
出演:レネー・ゼルウィガー ヒュー・グラント キウェテル・イジョフォー レオ・ウッドール コリン・ファース エマ・トンプソン
2025年製作/125分/イギリス/配給:東宝東和
https://bridget-jones-movie.jp/
4月11日(金)全国公開
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