今週のとっておきの1本は、2021年にオダギリジョーが脚本・演出・編集を務めたテレビドラマを映画化した作品! 映画版で描かれるのは、開けてはいけないドアの先に見たこともない不思議な世界が広がっている、前代未聞のダークファンタジー。何よりも、オダギリ監督のもとに集結した類を見ない超豪華キャストは大きな見どころとなっています。
シネマエッセイ
「世の中には不思議なことが溢れている……」この映画のラストに、犬の着ぐるみ姿のオダギリジョーが我々に語りかける。「……変なところにあるドアは開けない方がいいかも」と。先週のシネマエッセイで、私は小学4年生の時に引っ越した家のことを書いた。トイレに大きな竹が生えていて、まるでジャングルのようだった恐怖の記憶……。実は、その家にはもう一つ恐怖を感じるものがあった。南側の床の間付きの和室をぐるりと囲んだ縁側のどんつきに、ふすま1枚ほどの大きさのドアがあったのだ。古い一軒家だったので何となく気味が悪い。トイレの衝撃的な状況も影響していたのか、誰もそのドアを開けようとしなかった。私や妹のように子どもだから怖がるというのはわかるが、いい年をした大人である父も母も決して開けようとはしなかったのは何故だろう。もし、開けていたら……見てはいけない何かがしまい込まれていたのかもしれない。いやいや、もしかしたら異次元の世界への扉だったのかもしれない。そうであれば、ドアを開けて覗くだけでもしておけばよかったかな~と今頃になって思う。
映画では、唐突に出現するドア。海の真ん中にあったり、祭りの夜店通りにあったり。誰かがドアを開けるたびに摩訶不思議な展開が待っている。この映画でオダギリジョーが伝えたいことを明確に説明することはできないが、何故かオダギリワールドが癖になりそうな気がする。こうなったらテレビドラマも見てみたい!
ストーリー
狭間県警鑑識課警察犬係のハンドラー・青葉一平。一平の相棒は、数々の難事件を解決に導いた伝説の警察犬・ルドルフの子供であるオリバー。しかし、一平には、どういうわけか、オリバーが口が悪くやる気がない、女好きで慢性鼻炎の着ぐるみのおじさんに見えている。
ある日、一平や鑑識課メンバーの前に、隣の如月県のカリスマハンドラー・羽衣弥生がやってきた。如月県でスーパーボランティアのコニシさんが行方不明になったため、一平とオリバーに捜査協力を求めてきたのだった。「コニシさんが海に消えていくのを見た」という目撃情報を基に、コニシさんのリヤカーが残されていた海辺のホテルに向かった一平とオリバー、羽衣だったが…。
脚本・監督・編集・出演:オダギリジョー
出演:池松壮亮 麻生久美子 本田翼 岡山天音 / 黒木華 鈴木慶一 嶋田久作 宇野祥平
香椎由宇 / 永瀬正敏 / 佐藤浩市 / 吉岡里帆 鹿賀丈史 森川葵/ 髙嶋政宏 /
菊地姫奈 平井まさあき(男性ブランコ)/深津絵里
2025年/日本/98分/配給:エイベックス・フィルムレーベルズ
9月26日(金)公開
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