みなさま、おばんです。山形県出身の内藤美保がお送りする「こばえちゃ東北」。この番組では、東北各地の行きたい、食べたい、知りたいをお届けしています。「こばえちゃ」は山形県庄内地方の方言で「おいでください」という意味です(再生ボタン▶を押すと番組が始まります)

今日は青森県十和田市の秋を代表する絶景スポット、「蔦沼」を紹介します。
十和田市といえば、まず思い浮かぶのが、青く美しい湖面が広がる十和田湖、そして清らかな水が流れる奥入瀬渓流ではないでしょうか。さらに、十和田市の市街地には現代アートを楽しめる美術館もあり、「自然」と「アート」、そして「食」の魅力が一緒に楽しめるまちです。

まずは、十和田市について紹介しましょう。十和田市は青森県の南東部にあり、十和田湖や奥入瀬渓流、八甲田山など、豊かな自然に恵まれたまちです。現在の人口は、およそ5万6千人。市の面積も広く、豊かな森林や農地を有しています。十和田市の大きな特徴のひとつが「農業」です。にんにくをはじめ、長芋、ごぼう、長ねぎなど、さまざまな農産物が生産されています。特に、十和田市はにんにくの産地として全国的にも知られていて、市のふるさと納税返礼品でもにんにくや黒にんにくが人気となっています。
農業だけでなく、畜産も盛んで、十和田湖和牛などのブランド肉も楽しむことができます。そして、十和田市を訪れたらぜひ味わっていただきたいご当地グルメが「十和田バラ焼き」です。鉄板の上で牛バラ肉とたっぷりの玉ねぎを甘辛いタレで焼き上げる料理で、ジュージューと焼ける音と、食欲をそそる香りがたまりません。ほかにも、十和田湖の名物「ひめます」や、奥入瀬川の伏流水を使ったビールなど、自然の恵みを生かした食も充実しています。

そんな十和田市には、観光PRキャラクターとして「駒松くん」「駒桜ちゃん」「南そボーヤ」がいます。駒松くんと駒桜ちゃんは、馬の姿をした双子のキャラクターです。十和田市は、かつて馬産地として知られていたことから、馬文化が地域に根付いています。また、十和田市の中心部にある官庁街通りは、松と桜の並木が美しいことから「駒街道」という愛称で親しまれており、駒松くんと駒桜ちゃんの名前にも、その地域の特色が込められています。そして、もう一人の「南そボーヤ」は、十和田湖に伝わる「南祖坊」の伝説をもとにしたキャラクターです。こうしたキャラクターからも、十和田市が大切にしている「馬」と「十和田湖」の文化を感じることができます。

十和田市の観光といえば、やはり自然は外せません。国の特別名勝・天然記念物にも指定されている十和田湖、そして十和田湖から流れ出す奥入瀬渓流。奥入瀬渓流では、遊歩道を歩きながら、清らかな流れや滝、深い森を楽しむことができます。そして、市街地に目を向けると、今度は現代アートの世界が広がります。「十和田市現代美術館」を中心に、まちそのものを美術館のように楽しむことができるのが十和田市の面白いところ。豊かな自然を楽しんだあとに、街なかでアートを楽しむ。そんな、自然と芸術を組み合わせた旅ができるのも十和田市の魅力です。

さて、ここからは今回のもう一つの主役、「蔦沼」の紹介です。蔦沼があるのは、十和田市の奥瀬地区。南八甲田のふもとに広がるブナの森の中に、静かにたたずんでいます。実は蔦沼は、「蔦七沼」と呼ばれる7つの沼のひとつです。その7つとは、蔦沼、鏡沼、月沼、長沼、菅沼、瓢箪沼、そして赤沼。それぞれ違った表情を持っていて、周辺には「沼めぐりの小路」という散策路が整備されています。赤沼を除く6つの沼を巡るコースは、およそ2.9キロ、所要時間は約80分。ブナの森を歩きながら、次々と現れる沼の景色を楽しむことができます。秋の紅葉はもちろんですが、新緑の季節も美しく、野鳥の姿や声を楽しめる自然豊かな場所です。

そして、蔦沼が一年の中でも特に注目されるのが、秋の紅葉シーズンです。蔦沼の紅葉といえば、なんといっても「朝焼け」。紅葉の時期、早朝に蔦沼を訪れると、太陽が昇るにつれて、周囲の森が少しずつ赤く染まっていきます。そして、風が穏やかな日には、その赤や黄色に染まった森が、静かな湖面に鏡のように映り込みます。まるで湖の中にも、もう一つの森が広がっているような、幻想的な光景は、まさに息をのむ美しさです。蔦沼の森が真っ赤に見えるのは、木々がすべて真っ赤な紅葉になるから、というわけではありません。ブナやミズナラなどの森が、朝焼けの光によって赤く染められることで、あの「燃えるような赤い森」が生まれます。しかも、朝焼けの色や湖面の状態は、その日の天気や風によって変わります。真っ赤に染まる日もあれば、少しオレンジがかった日もある。そして、風が強ければ水面が揺れて、きれいな逆さ紅葉を見ることができないこともあります。
このように日々の景色が変わるのも蔦沼の魅力かもしれませんね。蔦沼の紅葉の見ごろは、例年10月中旬から下旬ごろ。特に朝焼けの景色を楽しむなら、日の出に合わせた早朝の時間帯がおすすめです。ただ、紅葉シーズンは全国から多くの人が訪れる人気スポットのため、近年は周辺道路の渋滞や路上駐車、自然環境への負荷を抑えるための取り組みが行われています。過去の紅葉シーズンには、早朝の展望デッキへの入場が事前予約制となる期間も設定されています。紅葉シーズンに訪れる場合は、事前に十和田市の公式サイトなどで最新の予約方法や交通対策を確認しておくと安心です。
また、紅葉の早朝はかなり冷え込みます。霜が降りるほど冷えることもありますので、暖かい服装を準備してお出かけください。散策路を歩く場合には、歩きやすい靴がおすすめです。ゆっくりと森の中を歩きながら、木々の色、沼の水面、鳥の声、そして森の空気を楽しんでみてください。
今年の秋は、自然とアート、そしておいしい食を楽しみながら、秋の十和田を旅してみてはいかがでしょうか。今回は、青森県十和田市と、秋の絶景「蔦沼の紅葉」を紹介しました。
次回は、山形県山形市の蔵王の紅葉を紹介します。どうぞお楽しみに。したばの~
