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とっておきシネマ

【鳥飼美紀のとっておきシネマ】フランス映画『ベルナデット 最強のファーストレディ 』

今週は、フランスの名優カトリーヌ・ドヌーヴ主演の作品。大統領夫人が巻き起こす、愛と人生を賭けた大逆転物語『ベルナデット 最強のファーストレディ』というコメディ映画です。

~シネマエッセイ~
中学校時代、生徒会の役員選挙でクラスメートの女子Mさんが〈書記〉に立候補した。彼女はたしかロシア系のクォーターで、同学年の中でも大人っぽく理知的な女の子だった。特別親しくもなかったはずなのに、私はみずから「応援演説をしてあげる」とMさんに言った。「してあげる」とは、なんて上から目線だったのだろう……。その時のMさんの本心はわからなかったが、とても快く「嬉しい。お願いね」と言ってくれたのは憶えている。14~5歳とは思えないほどの人格者である。しかし、その直後に本当は彼女が仲良くしていた優等生のUさんに応援演説をしてほしかったのではないか……と私は思い始めた。そうなると自分の厚かましさに恥じ入り、何としても書記に当選してもらうべく全力で応援をしなければと、必死で原稿を作成し演説の練習をした。さて選挙当日、私の応援演説があろうとなかろうと、頭脳明晰かつ人格者のMさんは難なく書記に当選したのだった。この時に限らず、私には思いついたことをすぐに口に出してしまうという「軽はずみ」なところがある。「率直」と言えば聞こえがいいが、「無遠慮」や「不用意」とも言える。大人になってもそんな性格が原因で、しまった……と思うことが多々あるので、この頃は口に出す前に、メールの送信ボタンを押す前に、「もう一度考える」ことを自分自身に課している。

フランス映画『ベルナデット 最強のファーストレディ』の主人公ベルナデットは、大統領夫人となった時に娘から「口に出す前に考えて!」と注意を受ける。私と同じ欠点に親しみを感じなくもないが、ベルナデットの政治的センスは大統領である夫やその側近たちよりも優れていて、実は有能な女性なのである(私とは全くレベルが違う)。それなのに、ファーストレディとなっても周囲からは軽んじられ邪慳な扱いを受ける。ところが娘がセッティングした有能なコミュニケーション・アドバイザーとバディを組んでから一転、彼女の快進撃が始まるのだ。それまで、曖昧な笑顔や戸惑いの表情が多かったベルナデットの顔が、生き生きとしてくるのが爽快! そして、ついには夫である大統領に無断である行動に出るのも痛快! リベンジものはやはり後味さっぱりで小気味よい。ただし、「この作品は事実を自由に脚色した物語」と冒頭に念押しされているので、実話とは言えないのだけれど。

【ストーリー】
ベルナデット・シラクは、夫ジャック・シラクを大統領にするため、常に陰で働いてきた。ようやく大統領府のエリゼ宮に到着し、自分の働きに見合う場所を得られると思っていたが、夫やその側近、そして夫の広報アシスタントを務める娘からも「時代遅れ」「メディアに向いていない」と突き放されてしまう。だが、このままでは終われない。参謀の“ミッケ”ことベルナール・ニッケと共に「メディア最重要人物になる」という、華麗にして唯一無二の“復讐計画”をスタートさせる。

監督:レア・ドムナック
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ ドゥニ・ポダリデス ミシェル・ヴュイエルモーズ サラ・ジロドー
2023年/フランス/93分/配給:ファインフィルムズ
https://bernadette-movie.com/
11月8日(金)より全国公開中

 

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