みなさま、おばんです。山形県出身の内藤美保がお送りする「こばえちゃ東北」。この番組では、東北各地の行きたい、食べたい、知りたいをお届けしています。「こばえちゃ」は山形県庄内地方の方言で「おいでください」という意味です(再生ボタン▶を押すと番組が始まります)

今日は、岩手県の南部に位置する「平泉町」を紹介します。
平泉といえば、まず思い浮かぶのが「世界遺産」ではないでしょうか。中尊寺の金色堂や毛越寺の美しい庭園など、平安時代の歴史と文化が今も息づく町です。そして、夏の暑さが少しずつ和らぎ、秋の気配が感じられる初秋の平泉は、歴史を感じながらゆっくり散策するのにぴったりの季節です。
それではまず、平泉町がどんな町なのか紹介していきましょう。平泉町は、岩手県の南部、西磐井郡にある町です。人口は、約6500人。町の大きな特徴は、なんといっても歴史と観光です。一方で、農業も平泉町を支える大切な産業のひとつです。お米や野菜など、豊かな自然を生かした農産物が生産されています。町では地産地消にも力を入れていて、毎月第一木曜から3日間行われる「平泉きらめき野菜デー」など、地域の農産物を身近に感じてもらう取り組みも行われています。
そんな平泉町を語るうえで欠かせないのが、12世紀の「奥州藤原氏」です。平安時代の後期、奥州藤原氏のもとで平泉は大きく発展しました。約100年にわたって繁栄した平泉には、寺院や庭園が次々と造られ、その背景には「戦乱のない平和な世界をつくりたい」という願いが込められていたとされています。平泉では、仏教の浄土思想と、日本古来の自然を敬う考え方が融合し、建築や庭園という形で理想の世界が表現されました。そして2011年6月に、「平泉 仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群」として、ユネスコの世界文化遺産に登録されました。世界遺産を構成するのは、中尊寺、毛越寺、観自在王院跡、無量光院跡、そして金鶏山の5つの資産です。
そして、平泉町には奥州藤原氏の初代・藤原清衡公をモチーフにした観光PRキャラクターもいます。その名前は「きよひらくん」。歴史の町・平泉を親しみやすくPRしてくれるキャラクターとして活躍しています。

では、ここからは平泉の代表的な観光スポットをご紹介しましょう。まずは「中尊寺」です。平泉観光の中心ともいえる場所で、長い参道を歩いていくと、境内にはたくさんのお堂が並んでいます。その中でも特に有名なのが「金色堂」です。その名のとおり、堂内外を金色で彩った非常に美しい建物で、奥州藤原氏の繁栄を今に伝える平泉の象徴ともいえる存在です。中尊寺には金色堂をはじめ、国宝や重要文化財に指定された文化財が数多く残されていて、まさに平安時代の文化を感じられる場所です。

続いては「毛越寺」です。中尊寺が華やかな建築美を楽しむ場所だとすれば、毛越寺は庭園と自然の美しさをじっくり味わいたい場所です。毛越寺の庭園は、池を中心とした「浄土庭園」。広々とした池と、周囲の木々や草花が一体となった美しい景観が特徴です。特に初秋の平泉では、夏の緑から少しずつ秋の色へと変化していく庭園の表情を楽しむことができます。そして、初秋の平泉でぜひ注目していただきたいのが「萩」です。毛越寺では、9月25日から10月20日まで「毛越寺萩まつり」が開催されます。境内には、ミヤギノハギ、シロバナハギ、ヤマハギの3種類、約500株の萩が植えられていて、9月下旬から10月中旬にかけて見頃を迎えます。赤紫色や白い花が風に揺れる風景は、夏とはまた違った、しっとりとした秋の平泉を感じさせてくれます。萩まつりの期間中には、「延年の舞」の公演や本堂内の特別拝観なども予定されています。歴史だけではなく、花や伝統芸能を楽しめるのが、この季節の毛越寺の魅力です。

また、平泉には「達谷窟毘沙門堂」もあります。岩壁に寄り添うように建てられたお堂で、独特の迫力を感じることができます。平泉の寺院とはまた違った、自然の岩と歴史的建造物が一体となった景観が魅力です。中尊寺、毛越寺と合わせて訪れてみるのもおすすめです。

そして、観光の途中には平泉のグルメも楽しみたいところです。平泉を訪れたらぜひ味わっていただきたいのが「わんこそば」。一口サイズのおそばを何杯も楽しむスタイルで、岩手を代表する食文化のひとつです。また、平泉周辺では「もち料理」もおすすめです。岩手県南部には、昔からお餅を食べる文化が根付いていて、あんこやずんだ、くるみなど、さまざまな味わいで楽しむことができます。
2026年は、平泉が世界遺産に登録されてから15周年という節目の年でもあります。年間を通して記念事業が行われています。9月25日から始まる「毛越寺秋まつり」と「毛越寺萩まつり」10月26日からの「毛越寺の紅葉まつり」そして10月20日からは「中尊寺菊まつり」さらに11月1日からは「秋の藤原まつり」が予定されています。ぜひ、ゆっくり時間を使って中尊寺の境内を歩き、木々の間から差し込む光を感じてみてください。毛越寺では池の水面を眺めながら、平安時代の人々が思い描いた浄土の世界に思いをはせてみてください。
平泉の魅力は、そこに残された建物や庭園、そして自然をゆっくり眺めることで、長い歴史の中に流れてきた時間を感じられるところにあります。これからの平泉は、初秋から晩秋へと、季節が進むごとに違った表情を見せてくれます。世界遺産をめぐりながら、日本の歴史や文化に触れる旅。そして、萩や紅葉など、季節の自然を楽しむ旅。さらに、岩手ならではのそばやお餅など、おいしいものを味わう旅。いろいろな楽しみ方ができるのが平泉です。
今回は、岩手県平泉町と、秋の観光について紹介しました。次回は、青森県十和田市の蔦沼を紹介します。どうぞお楽しみに。したばの~
