毎週金曜日の夜9時からおおくりしている最新映画情報番組「とっておきシネマ」、鳥飼美紀です。
今週ご紹介した作品は、イギリス映画『ビルド・ア・ガール』。
90年代イギリスの音楽業界に乗りこみ、がむしゃらに突き進む女子高校生が主人公です。
世界中が新型コロナに翻弄され、ちょっと元気になれない今の若い人にぜひ観てほしい作品!
【STORY】
1993年、イギリス郊外に家族7人で暮らすジョアンナは、底なしの想像力と文才に長けた16歳の高校生。
だが学校では冴えない子扱い。そんな悶々とした日々を変えたい彼女は、大手音楽情報誌「D&ME」のライターに応募。
単身で大都会ロンドンへ乗り込み、仕事を手に入れることに成功する。
しかし取材で出会ったロック・スターのジョンに夢中になってしまい、冷静な記事を書けずに大失敗。
編集部のアドバイスにより“嫌われ者”の辛口批評家として再び音楽業界に返り咲くジョアンナ。
過激な毒舌記事を書きまくる“ドリー・ワイルド”へと変身した彼女の人気は爆発するが、徐々に自分の心を見失っていき……。
【REVIEW】
冴えない高校生が、辛口音楽ライターに変身というティーンの大奮闘を描いたパワフルな青春映画!
イギリスの人気コラムニストでありベストセラー作家の、キャトリン・モランの半自伝的小説『HOW TO BUILD A GIRL』(2014年)が原作となっている。
見どころは、物語の背景となっている1990年代初頭のUKロックシーン。
90年代ロックの名曲が映画を彩り、作品にリズミカルなパワーと懐かしさを感じさせてくれる。
そしてもう一つが、ジョアンナにとっての神々――歴史上の偉人たちのピンナップが壁一面に貼られた寝室の壁=GODWALL〔神の壁〕。
エリザベス・テイラー、ブロンテ姉妹やシルヴィア・プラス、ドナ・サマー、クレオパトラ、フロイト博士、カール・マルクス……。
彼らがピンナップの中で生命を持って動き出し、迷えるジョアンナを口々に励ましてくれるシーンが度々ある。
これは原作にはない映画オリジナルの設定らしいが、作家を夢見るジョアンナらしいこの壁がとてもユニーク。
そして、最後の最後にひょいっと出てくる、私の大好きなイギリスを代表するあのオスカー女優にも感激!
才能があって、それ以上の野心とがむしゃらな行動力で、少々の失敗にもへこたれないジョアンナに圧倒されっぱなしの1時間45分。
観終った後、明るい気持ちで元気よく映画館を後にできる映画~オススメ!
原作・脚本:キャトリン・モラン
監督:コーキー・ギェドロイツ
出演:ビーニー・フェルドスタイン パディ・コンシダイン サラ・ソルマーニ アルフィー・アレン
2019年 イギリス 105分 配給:ポニー・キャニオン、フラッグ
https://buildagirl.jp/
10月22日(金)シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸などで公開