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【とっておきシネマ】日本映画『梅切らぬバカ』

毎週金曜日、夜9時からおおくりしている最新シネマ情報番組「とっておきシネマ」の鳥飼美紀です。
今週は、自分とは異なる人を尊重する気持ちの大切さを、あらためて感じる2作品をご紹介しました。

(C)2021「梅切らぬバカ」フィルムプロジェクト

【STORY】
珠子は、自閉症の息子・忠男(チューさん)と二人暮らし。
作業所に通うチューさんは毎朝決まった時間に起床、決まった時間に朝食をとり、決まった時間に家を出る。
毎日規則正しい生活を送っているふたりの家の隣に3人家族が引越して来た。
そして、庭にある梅の木の枝が伸び放題で路地の通行を妨げてしまっているのが迷惑だと、苦情を言われる。
過去にも何度か枝を剪定しようとしたことがある珠子だが、理由があってチューさんがそれを許さなかったのだ。
そんなある日、チューさんのグループホーム入居の案内を受けた珠子は、悩んだ末にチューさんの入居を決める。
しかし、初めて母と離れて暮らすことになったチューさんは、環境の変化に戸惑いホームを抜け出してしまう……。

(C)2021「梅切らぬバカ」フィルムプロジェクト

【REVIEW】
母と息子は、ささやかに平穏な毎日を送っていたが、息子の50歳の誕生日に母はふと気づく。
やがて訪れる“息子が1人で生きる未来”……それを見据えて、母は息子のグループホーム入居を決意するのだ。
しかし、ホームの周囲で暮らす人々は、“障がい者”が集団で暮らすことに拒絶反応を示す。
自閉症の男性とその母親の、またはグループホームに暮らす人達の、そして周囲に住む人々の、どれも当たり前に大切な平穏な暮らし。
しかし、自分たちの平穏だけを大切にすることに囚われると、摩擦やトラブルが起こることもあるだろう。
どちらも穏やかに暮らせるように、対立や敬遠などではなく、誰もが地域の中で孤立しないように静かに見守っていければいいなと思える作品である。
加賀まりこさん演じる珠子が、自閉症の息子に注ぐ過剰ではない穏やかで温かい愛情が、清々しく心に残るものがたり。

監督・脚本:和島香太郎
出演:加賀まりこ 塚地武雄 渡辺いっけい 森口瑤子 斉藤汰鷹 林家正蔵 高島礼子
2021年 / 日本 / 77分 配給:配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ
https://happinet-phantom.com/umekiranubaka/
11月12日(金)から シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸などで公開

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