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【とっておきシネマ】日本映画『ドライブ・マイカー』

毎週金曜日、夜9時からおおくりしている「とっておきシネマ」の鳥飼美紀です。

今週ご紹介した映画は、第94回アカデミー賞国際長編映画賞を受賞した濱口竜介監督『ドライブ・マイカー』です。
3月27日(日本時間3月28日)に授賞式が行われましたが、日本映画のこの部門での受賞は、2008年「おくりびと」以来13年ぶりの快挙!
『ドライブ・マイカー』の公開は昨年夏でしたが、現在もあちこちの劇場で上映されていますし、今日4月1日からはイオンシネマ三田WTでも上映されていますよ。

©2021 『ドライブ・マイ・カー』製作委員会

【STORY】
舞台俳優であり演出家の家福。妻と満ち足りた日々を送っていた。
妻は「今夜、帰宅したら少し話がしたい」と言って家福を送り出したその日に突然亡くなってしまう。
2年後、広島での演劇祭演出の仕事に愛車で向かった家福は、寡黙な専属ドライバーのみさきと出会う。
さらに、かつて妻から紹介されたことのある俳優・高槻とオーディション会場で再会する……。
妻を失った喪失感と“打ち明けられることのなかった秘密”に苛まれてきた家福。
ドライバーのみさきと過ごし、お互いの過去を明かすなかで、家福はそれまで目を背けてきたあることに気づかされていく。

©2021 『ドライブ・マイ・カー』製作委員会

【REVIEW】
日本を代表する(ノーベル文学賞を常に期待されている)作家・村上春樹による短編小説「ドライブ・マイ・カー」が原作。
妻を失った男の喪失と希望を綴ったこの作品に惚れ込んだ濱口竜介監督が、自ら脚本も手掛けて映画化した作品。
人間以外の主役である家福のマイカー、“赤のサーブ”。
原作では黄色のコンバーチブルだが、映画では風景に映えるようにと、赤の2ドアとなっているそうだ。
後部座席に乗るときには、運転席や助手席のシートを倒さなければならないのが懐かしい。
そのサーブを広島での演劇祭の間、家福に代わって運転するのがミサキという若い女性だ。
化粧気も飾り気もなく寡黙でぶっきらぼう、そしてヘビースモーカー……しかし運転技術は抜群のドライバーである。
家福はミサキの運転する車内で、テープに入れた演劇のセリフを確認する作業に身をゆだねる。
そのセリフは、家福だけではなく観ている我々にもビシビシと矢のように刺さってくる……そんな気がする。

©2021 『ドライブ・マイ・カー』製作委員会

ユニークなのは、オーディションで選ばれた海外キャストと日本人キャストとのアンサンブルだ。
劇中劇で演じられる舞台は、英語や韓国語などの複数の言語に手話も交えて展開していくのが新鮮である。
濱口監督は、「ワーニャ伯父さん」「ゴドーを待ちながら」という演劇を大胆に取り入れて、ストーリーと劇中劇を重層的に呼応させている。
この作品は、昨年の第74回カンヌ国際映画祭で、日本映画としては史上初となる脚本賞を受賞した。
それを皮切りに、ゴールデングローブ賞の最優秀非英語映画賞、全米批評家協会賞主演男優賞など、全米の各映画賞でも大きく注目を集めてきた。
今回のアカデミー賞では日本映画史上初となる作品賞にもノミネートされたが、結果としては国際長編映画賞の受賞となった。
3時間という映画の長さが全く気にならない、世界が認めた静かな傑作である。

©2021 『ドライブ・マイ・カー』製作委員会

監督:濱口竜介
原作:村上春樹「ドライブマイカー」(短編小説集「女のいない男たち」所収/文春文庫刊)
出演:西島秀俊 三浦透子 岡田将生 霧島れいか
2021年/179分/PG12/日本 配給:ビターズ・エンド
https://dmc.bitters.co.jp/
4月1日(金)から、イオンシネマ三田WTで上映 その他の劇場情報は公式サイトでご確認ください。

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