今週は、3月6日(金)公開『ウィキッド 永遠の約束』をご紹介します。昨年の春に公開され大ヒットした『ウィキッド ふたりの魔女』の後編です。ブロードウェイでロングラン上演されてるミュージカルで、日本でも劇団四季の公演でファンの多い傑作。今回、私は日本語吹き替え版の試写を観てきました。いつもより抑えたトーンでエルファバの声を演じた高畑充希さん、清水美依紗さんの明るく伸びやかな歌声が新鮮でした。

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シネマエッセイ
森下典子さんのエッセイ集『こいしいたべもの』の中に、『四月、桜の木の下で』という作品がある。桜餅の香りから、自分だけが感じる春特有の匂いについての思いが綴られている。桜餅というと、確かに塩漬けの桜の葉と甘い餡子の入り混じった香りが印象的だが、私は緑とピンクという色彩にも魅力を感じる。一見、しっくりと合いそうもない緑とピンクだけれど、これぞ桜餅カラーであり、私の中ではウィキッドカラーでもある。
ミュージカル『ウィキッド』の世界は緑色とピンク色の世界。主人公の“悪い魔女”と言われるエルファバ”は緑色の肌の女性で、舞台となるオズの国・エメラルドシティもその名のごとく緑色で満たされている。20年近く前、ミュージカル『ウィキッド』を見た私は、摩擦を恐れずに正義を貫くエルファバに共感して、緑色に凝った時期がある。緑色のコート、バッグ、ハンカチ、ピアスなどなど。緑のものを身に着けると、エルファバのように自分の意志を貫くエネルギーが湧くような気がしていた。緑色は、成長や若さ、生命力を象徴するとか。一方、エルファバのライバルである“良い魔女”グリンダのイメージはピンク。ピンク色は、愛情や優しさ、幸福感を象徴しているという。グリンダは闘いを好まない、明るく華やかな笑顔で世界を照らす。一見、しっくりと合いそうもない緑のエルファバとピンクのグリンダは、別々の道を歩いてはいるけれど、実は強い友情で結ばれている。今回の映画『ウィキッド 永遠の約束』は、グリンダの気持ちの変化が丁寧に描かれているので、いつの間にか私はグリンダにも共感していた。それぞれの色の違いで対立するのではなく、共感し合い、認め合う心が平和な世界を築いていく魔法になる。
そろそろ、桜餅の季節。関西では道明寺桜餅というピンク色の粒々で餡を包んだものが一般的らしいが、この和のお菓子で『ウィキッド』を連想するのは、ひょっとしたら私だけかもしれない。そんな私が今、惹かれている色はブルーグレー(青灰色)。色彩心理学では、落ち着きと安らぎを象徴する色だとか。気がつかないうちに自分もずいぶん大人になったものだ……と感慨深い。

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オズの国に隠された真実を知り、それぞれの道を歩むことになったエルファバとグリンダ。“悪い魔女”として悪名を着せられ民衆の敵となったエルファバは、言葉を奪われた動物たちの自由のために戦い続けていた。一方“善い魔女”となったグリンダは、希望の象徴として名声と人気を手にするも、その心にはエルファバとの決別が深い影を落としていた。和解を試みるもその願いは届かず、 ふたりの溝はさらに深まっていく。さらに、突如現れた“カンザスから来た少女”によって、オズの国の運命も大きく動き出す。世界に暗雲が立ち込める中、ふたりの魔女はもう一度、かけがえのないかつての友と向き合わなければならない。自分自身と、世界そのものを―――永遠に変えるために。

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監督:ジョン・M・チュウ
出演:シンシア・エリヴォ アリアナ・グランデ (吹替版:高畑充希 清水美依紗)
2025年製作/137分/G/アメリカ/配給:東宝東和
https://wicked-movie.jp/https://wicked-movie.jp/
3月6日(金)ロードショー
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