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【とっておきシネマ】韓国映画『三姉妹』

毎週金曜日、夜9時からおおくりしている最新シネマ情報番組「とっておきシネマ」の鳥飼美紀です。
今週は、韓国の映画祭などで女優賞を総ナメにしたと話題になった『三姉妹』をご紹介しました。
それぞれに問題を抱え日々の生活に追われて疎遠になりがちだった、ヒスク、ミヨン、ミオクの三姉妹。
父親の誕生日の席上で、彼女たちがこれまで蓋をしていた幼い頃からの心の傷に真正面から向き合う……という物語です。

(c)2020 Studio Up. All rights reserved.

【STORY】
韓国・ソウルに暮らす三姉妹が主人公。
長女ヒスクは、別れた夫の借金を返しながら花屋を営んでいる。
一人娘は冴えないパンクバンドに入れあげ、反抗期真っ盛り。
ときおり元夫からお金をせびられ、娘に疎まれても、“大丈夫なフリ”をして日々をやり過ごしている。
次女ミヨンは、熱心に教会に通い、聖歌隊の指揮者も務める模範的な信徒。
大学教授の夫と一男一女に恵まれ、高級マンションで暮らす。
しかし、夫の裏切りが発覚し“完璧なフリ”をした日常がほころびを見せ始める。
三女ミオクは、スランプ中の劇作家。
食品卸業の夫と、夫の連れ子である中学生の息子の3人で暮らしているが、自暴自棄になって昼夜問わず酒浸りの毎日。
“酔っていないフリ”をして息子の保護者面談に乗り込んでしまう。
三人揃うことはほとんどないこの姉妹だが、父親の誕生日会のために久しぶりに一堂に会することに。
牧師様も同席し、祈りが捧げられる時、思いもよらぬ出来事が起きる。
そして、三人はそれまで蓋をしていた幼少期の心の傷と向き合うことになる――。

(c)2020 Studio Up. All rights reserved.

【REVIEW】
長女役にドラマ「愛の不時着」で北朝鮮の人民班長役を演じたキム・ソニョン。
次女役には、『オアシス』での体当たり演技が今も語り継がれる名女優ムン・ソリ。
三女役には長年トップモデルとして第一線で活躍、2015年に『ベテラン』で映画デビューしたチャン・ユンジュ。
とにかく、三姉妹を演じる3人の女優たちの演技が大きな見どころとなっている。
監督は長女役のキム・ソニョンの公私にわたるパートナーのイ・スンウォン監督である。

(c)2020 Studio Up. All rights reserved.

主に次女ミヨンを中心に物語は展開していく。
宗教熱心な優等生のミヨンは、エリートの夫と高級マンションに住み、真面目に人生を送っている。
ところが、どうやら夫が不倫をしている様子……しかし、そこで取り乱さないというプライドの高い女性。
完璧主義の優等生だからこそ心の中には噴火目前のマグマがあって、後半一気に爆発するシーンは痛快であり、恐怖でもある。
それに比べ、プライドが無いに等しいのが長女のヒスク。
誰に何を言われても、されても、あいまいな笑顔でことを先送りし、人の顔色を窺うタイプだ。
実は、家族の中で彼女は妹たちとはいささか立場が違う。
それゆえに波風を避けたい性格になったのかと思うと切ない。
三女のミオクは、本当は気のいい女性だけれど、作家としてのスランプに加え、優しすぎる夫にどう接していいかわからなくて迷走している。

(c)2020 Studio Up. All rights reserved.

滑稽でありながら深刻で、ひりひりとした部分もあるが、ホロッとするシーンもあり。
姉妹(兄弟)とは、大人になったら何だかややこしい、時に忌々しい存在ではある。
しかし最後には「やはり家族なのだ……」と納得させる彼女たちの演技力に、韓国映画の底力を感じる。
韓国では、若い未婚女性が主人公の作品が多いそうだが、今回は既婚の女性たちの等身大の物語という意味で興味深い作品といえる。

監督・脚本:イ・スンウォン
出演:ムン・ソリ キム・ソニョン チャン・ユンジュ チョ・ハンチョル ヒョン・ボンシク
2020年/韓国/115分/配給:ザジフィルムズ
http://www.zaziefilms.com/threesisters/
関西では、6月24日(金)~京都シネマ シネ・リーブル梅田 7月8日(金)~シネマート心斎橋 シネ・リーブル神戸で公開

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