今週の「とっておきシネマ」２本目の映画は、昨年の第75回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した『CLOSE/クロース』。
前作『Girl／ガール』で第71回カンヌ国際映画祭カメラドール（新人監督賞）を受賞したルーカス・ドン監督の長編２作目。
学校という社会の縮図に直面する10代前半に、監督自身が感じた葛藤や不安などを瑞々しく繊細に描いた作品です。
© Menuet / Diaphana Films / Topkapi Films / Versus Production 2022
【STORY】
1２歳のレオとレミは、24時間ともに過ごすほどの大親友。
中学校に入学した初日、親密すぎるあまりクラスメイトにからかわれたレオは、レミへの接し方に戸惑い、次第にそっけない態度をとってしまう。
気まずい雰囲気のなか、ついに二人は些細なことで大喧嘩をしてしまう。
そんなある日、心の距離を置いたままのレオに、レミとの突然の別れが訪れる……。
季節は移り変わるも、喪失感を抱え罪の意識に苛まれるレオは、自分だけが知る“真実”を誰にも言えずにいた。
© Menuet / Diaphana Films / Topkapi Films / Versus Production 2022
【REVIEW】
主人公・レオと幼馴染のレミを演じるのは、本作で俳優デビューとなるエデン・ダンブリンとグスタフ・ドゥ・ワエル。
監督が、電車に偶然乗り合わせたエデンに目を奪われ、この映画のオーディションを受けるように誘ったとか。
「友達とお喋りをしていたエデンは、表現力豊かな資質を持っていることが分かった」と監督。
そして、オーディションでエデンとペアを組んだレミ役のグスタフとともに抜擢された。
2人ともとても美しい少年で、彼らの自然な演技と美しい風景描写が、哀しみや切なさを余計に印象付ける作品になっている。
© Menuet / Diaphana Films / Topkapi Films / Versus Production 2022
花の農家の息子のレオと、幼馴染のレミ。
色鮮やかな花畑を遊びながら走り抜けるシーンが繰り返し描かれる。
そして緑豊かな田舎道を、自転車で2人が通学するシーンも幾度となく……。
仲良かった頃は無邪気に自転車を飛ばし、気まずくなった帰り道にはお互いに戸惑いの表情でペダルを踏む。
そしてレオ1人で登校する後ろめたい朝、さらにレミとの別れを知らされた日に必死に自転車を漕ぎレミの家に向かうレオ。
普通に暮らしてはいるものの、誰にも打ち明けられない想いを抱えるレオ……。
そんな幾つもシーンが丁寧に、丁寧に描かれ、観ている私たちも徐々に胸がいっぱいになってくる。
© Menuet / Diaphana Films / Topkapi Films / Versus Production 2022
思春期のちょっとした行き違いが、取り返しのつかないことになってしまうわけだが、レオもレミもどちらも力いっぱい抱きしめてあげたくなる～そんな映画。
ちなみに、タイトルの「CLOSE」だが、close friendship＝親密な友情・親友という言葉からつけられたという。
監督：ルーカス・ドン
出演：エデン・ダンブリン グスタフ・ドゥ・ワエル エミリー・ドゥケンヌ
2022年/ベルギー・オランダ・フランス/104分/配給：クロックワークス／STAR CHANNEL MOVIES 提供：クロックワークス 東北新社
https://closemovie.jp/
7月14日（金）～全国公開 関西では、アップリンク京都 なんばパークスシネマ シネ・リーブル梅田 シネ・リーブル神戸など
