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【とっておきシネマ】『ヒトラーのための虐殺会議』

今週の「とっておきシネマ」2本目の作品は、“史上最も恐ろしい会議”を描いたドイツの映画です。
あまりなタイトルに最初はパロディかと思いましたが、その内容は背筋が凍りつくようなものでした。
流血シーンや残酷なシーンは一切出てこない代わりに、想像を絶する恐ろしい言葉が数多出てきます。
しかも、これは実際に開かれた会議の議事録に基づいているというのだから……言葉を失います。
人間の愚かな所業について、知らなければならないことは果てしなくあるのかもしれません。

© 2021 Constantin Television GmbH, ZDF

【STORY】
1942年1月20日正午、ドイツ・ベルリンのヴァンゼー湖畔にある大邸宅。
ナチス親衛隊と各事務次官が国家保安部長官のラインハルト・ハイドリヒに招かれ、高官15名と秘書1名による会議が開かれた。
議題は「ユダヤ人問題の最終的解決」について。
「最終的解決」はヨーロッパにおける1,100万ものユダヤ人を計画的に駆除する、つまり抹殺することを意味するコード名。
移送、強制収容と労働、計画的殺害など様々な方策を誰一人として異論を唱えることなく議決。
その時間は、たったの90分。
史上最悪の会議の全貌が80年後のいま、明らかになる。

© 2021 Constantin Television GmbH, ZDF

【REVIEW】
ナチス親衛隊の幹部とドイツの官僚たちが出席した会議は、「ユダヤ人虐殺ありき」の大前提のもと、まるでものを処分するかのように淡々と議論される。
「ユダヤ人」と書かれた字幕を全て「日本人」に置き換える(つまり自分事にする)と、会議での様々な発言に耳を覆いたくなる。
ひとつの民族を絶滅させる理由や権利は誰にも無いはずなのに、彼らは自分たちを神以上の存在だと思っているのか。

© 2021 Constantin Television GmbH, ZDF

ただの一人も、ユダヤ民族を抹殺する計画に反対する人がいないことに唖然とする。
たとえばシュトゥッカート(内務省次官)は、倫理的な気持ちからではなく「法的に無理がある」点を指摘して、会議にストップをかけようとはする。
また、クリツィンガー(首相官房局長)は、ユダヤ人を大量に銃殺した際、その血の海を見たドイツの若い兵士の精神状態が危うくなるのでは?と危惧はする。
しかし、議題となっている「ユダヤ人問題の最終的解決」そのものがおかしいとは誰も言わない。
いかに効率的に、人手をかけず、血を流さず、ユダヤ人抹殺を完遂するか……。

© 2021 Constantin Television GmbH, ZDF

この会議によって、ナチ・ドイツ勢力圏におけるユダヤ人に対して、それまでの銃殺からアウシュヴィッツで知られる収容所でのガス殺へと変化していったという。
最終的には全ユダヤ人1,100万のうち、600万人のユダヤ人が殺害された。
ヴァンゼー会議から80年たって、この映画が製作されたことを私たちはどのように受け取ればいいのだろうか。
観ている者が言葉を失うほど、衝撃的な90分の会議の全貌が描かれたこの映画は、懲りもせず今も戦争や虐殺が行われているからこそ、見るべき作品だろう。

監督:マッティ・ゲショネック
出演:フィリップ・ホフマイヤー、ヨハネス・アルマイヤー、マキシミリアン・ブリュックナー
配給:クロックワークス
https://klockworx-v.com/conference/
1月20日(金)~新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開!
関西では、シネ・リーブル・梅田 シネ・リーブル神戸など

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