そして1月19日放送の2作品目は、1月26日公開のアイルランド映画『コット、はじまりの夏』。
主人公コットを演じたのは、2010年アイルランド・ダブリン生まれのキャサリン・クリンチ。
この作品が映画デビュー作で、2022年アイルランドのアカデミー賞といわれるIFTA賞(アイリッシュ映画&テレビアカデミー賞)で、史上最年少の12歳で主演女優賞を獲得しました。
コットを演じる彼女の透明感と諦観(あきらめ)の佇まいから目が離せない、新年イチオシの素敵な映画です。
【STORY】
1981 年、アイルランドの田舎町。
大家族の中でひとり静かに暮らす 9 歳の少女コットは、赤ちゃんが生まれるまでの夏休みを、親戚夫婦のもとで過ごすことに。
寡黙なコットを優しく迎え入れる妻アイリンに髪をとかしてもらったり、口下手で不器用な夫ショーンと子牛の世話をしたり。
はじめは戸惑っていたコットも、2 人の温かな愛情をたっぷりと受け丁寧な生活を送るうちに、今まで経験したことのなかった生きる喜びに包まれ、自分を解放していく。
緑豊かな農場で、いつしか本当の家族のようにかけがえのない時間を重ねていた 3 人だったが、やがて夏が終わりに近づき、コットの帰宅の日が迫る――。
なんとなく『赤毛のアン』を思い出す世界観。
主人公コットは、孤児のアンとは違って父母もきょうだいもいる大家族の一員だが、家族との縁は孤児のように薄い。
彼女は寡黙でおとなしいうえに、何をやっても人並みにできず、学校でも家の中でも居場所がないのだ。
コットを預かった親戚夫婦は、そんな彼女に心豊かで丁寧な生活と家族の絆を体感させてくれる存在だが、ある秘密を抱えていた……。
英語のタイトルは「The Quiet Girl」。
コットは、ただおとなしいというより、ある種の「諦観」のようなものを纏っている少女だ。
私は、いつになく激しい共感を覚え、このまま彼女がアイリンとショーンの元で暮らせることを心から願った。
大きな事件が起こったり、主人公が思いきった行動に出たりするストーリーではないが、とても心震える物語。
監督・脚本:コルム・バレード(長編初監督作品)
原作:クレア・キーガン「Foster」
出演:キャリー・クロウリー、アンドリュー・ベネット、キャサリン・クリンチ、マイケル・パトリック
2022年/アイルランド/95分
配給・宣伝:フラッグ https://www.flag-pictures.co.jp/caitmovie/
1月26日(金)~ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、渋谷ホワイトシネクイントほか全国公開
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