みなさま「おばんです」山形県出身の内藤美保がお送りする「きてみで(来てみて)東北」。
この番組は東北各地の紹介と、東北弁で語る民話をお届けしています。(再生ボタン▶を押すと番組が始まります)
さて、今日紹介する東北の話題は、ユネスコ無形文化遺産に登録されている秋田県の「男鹿のナマハゲ」です。
男鹿半島の大晦日の晩、各集落に、鬼の面をつけ、ケデなどと呼ばれるワラのミノをまとった「なまはげ」に扮した青年たちがやってきます。
なまはげの語源は『火斑(ナモミ)を剥(は)ぐ』という言葉が訛ったものといわれています。
ナモミとは火にあたっているとできる火傷のようなもので、怠け者の象徴と言われ、それを剥いで、怠け者を戒めるのがなまはげといわれています。
大晦日、夜八時半。
先立(さきだち)という役目を担うお兄さんが『来ましたがはいっていいですか、』という意味で「おばんです。なまはげ、来たすども…」と聞きにきます。
家主は「おめでとうございます。寒いとこ、よく来てけだな(よく来てくれましたね)」と答えながら、お酒をすすめ、なまはげのためにお膳を並べます。
「んだす。山がら来るに容易でねがったす(そうです、山から来るのが大変でした)」と先立が応えるそばから、
突然、バンバンバンバン!バンバンバンバンと居間の襖を激しく叩く音が聞こえてきます。
するとバッと襖が開き、なまはげが現れます。「お~~~~」「お~~~~」と低くうなりながら、玄関で七回四股を踏みます。
なまはげはどかどかっと、家の中に入ると、バンバンバンバン!バンバンバンバン!と、激しく扉や襖を叩いて音を出しながら、
「泣ぐ子いねが!怠け者いねが!言うごど聞がね子いねが!親の面倒見悪りい嫁いねが!」と探し歩き、家じゅうの扉という扉を開けていきます。
激しく叩くのは、音を出して邪気を払っているからです。
家主は「なまはげさん、まんず座って酒っこ飲んでくだんしぇ(座ってお酒を飲んで下さい)」といいながら、お酒をすすめます。
なまはげは五回、四股を踏んでからお膳につきます。ここから、家主がなまはげをお酒やご馳走で歓待しながら、問答が始まります。
なまはげが「今年の作はなんとだった?(今年の田んぼの具合はどうだった?)」家主は「おかげさまでたいしたいい作であったす」
すると、なまはげは「んだが!まだいい作なるように拝んでいぐがらな!」などといったやり取りをして最後に、
「また来年も来るがらな!」といい、お膳から立ち上がって三回四股を踏んで、帰っていきます。
ケデと呼ばれるなまはげのミノから落ちたワラは翌朝までそのままにしておきます。
体の悪いところに巻きつけると、具合がよくなるなど、ご利益があるといわれているそうです。
そして、なまはげが来てくれることによって、新しい年が豊作になり、無病息災で過ごせるという、
男鹿の人たちにとっては、ありがたい存在なのだそうです。
今回は秋田県の「男鹿のナマハゲ」を紹介しました。
ではここから、東北弁で語る民話をお送りします。今回は山形県で語られていた民話「笠地蔵」をお送りします。
お話に出てくる
「丸ぬれ」は「ずぶぬれ」
「弥蔵屋形」は「弥蔵の家」
「ひえねぇ」は「かわいそう」
「たがぎこんで」は「持ってきて」という意味です。