今週は、想像を超えた夫婦の愛の在り方に衝撃と感動が押し寄せるラブストーリー『あなたが眠る間』をご紹介します。大切な記憶を失った妻と、秘密を抱えながら寄り添う夫。予想を覆す結末がドラマティック過ぎる! ラブストーリー苦手と公言している私の心も、ひたひたと涙で潤った物語です。

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シネマエッセイ
行きつけのスーパーの駐車場が、ナンバー認識カメラ活用のシステムに変わった。車の出入りはスムーズになったが、つい「新システムもいいけど、防犯カメラを設置してほしいな~」と私は少々不満である。というのも、このスーパーの駐車場で「当て逃げ」に遭ったことがあるのだ。あれは昨年の5月のこと。買い物を終えて車に戻ると、夫が運転席側バンパーのライト横にあきらかに擦ったような大きなキズを見つけた。新車だったからキズには敏感なのだ。隣のスペースには車はない。当て逃げしたのは、駐車した時に停まっていた車なのか、その後に停めた車なのか……。とにかく駐車場の防犯ビデオを確認してもらおうとスーパーに連絡したところ、なんと防犯ビデオを設置していないという。今どき、防犯カメラのない駐車場とは……。とりあえず警察には届けたものの、何となく悔しい。泣き寝入りではないか。小さなキズならともかく大人のお弁当箱くらいのサイズ感なのだ。そうだ、車のドライブレコーダーに何か残っているかもしれないと夫が確認したみた。すると、「怪しいおばちゃんが車のキズのところを見ているのが映ってる」と言う。「どれどれ?」と私も確認。「ほんとだ、何か怪訝な顔してキズを見てる……あれ? このおばちゃん、私じゃないの?」そうなのだ。夫が他にキズがないか車の後部を確認している間に、私が腕組みをして車を見ているのが映っていたのだった。夫はかなりの老眼だから、ドライブレコーダーの小さな画面に映った妻の顔が“知らないおばちゃん”に見えたようだ。結局、ドライブレコーダーには当て逃げの手掛かりは残っておらず、自腹で修理となった残念な初夏の出来事だった。
映画『あなたが眠る間』にもドライブレコーダーの映像が出てくる。交通事故が原因で記憶を失った妻。そんな妻に優しく寄り添う夫。しかし、何故か夫は妻が失った記憶については口を閉ざしている。どうやら夫には妻の知らない重大な“秘密”があるようだ。おそらく物語の最後の最後まで、ドライブレコーダーに残されている夫の“真実”を誰も想像できないはずだ。1時間40分というコンパクトな上映時間にもかかわらず、夫婦の愛がしっかりと伝わる描き方は韓国のラブストーリーならでは……なのだろう。

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幸せな結婚生活を送る、小説家のジュンソクと美術講師のドッキ。しかし、ドッキは過去の事故の後遺症で2年分の記憶を失っていた。献身的に支えてくれるジュンソクに、ドッキは深い愛情を感じる一方、彼の行動に違和感を覚えることがあった。記憶を失くした 2年間の出来事を、ジュンソクはなぜか教えてくれない。そんな中、ジュンソンクは執筆の仕事でしばらく家を離れることに。数週間が過ぎた頃、ドッキは衝撃的な1本の電話を受ける。追い打ちをかけるように、明らかになっていく夫の謎の行動。交通違反、多額のカード利用、滞在先での不審な行為……。愛した夫は一体何を隠していたのか? やがてドッキは予想もしなかった真実に辿り着く─。

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監督:チャン・ユニョン
出演:チュ・ジャヒョン、イ・ムセン
2024 年/韓国/100分/配給:日活/KDDI
https://aisansen.com/ananemu/
9月5日(金)全国順次公開
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