みなさま「おばんです」山形県出身の内藤美保がお送りする「きてみで(来てみて)東北」。
この番組は東北各地の紹介と、東北弁で語る民話をお届けしています。
今日紹介する東北の話題は、岩手県花巻市大迫で2月22日(土)から3月3日(月)まで行われる「おおはさま・宿場のひなまつり」です。
花巻市大迫町は国定公園早池峰山のふもとにあり、江戸中期から昭和初期まで、盛岡市と遠野市を結ぶ街道の宿場町として栄えたところです。
また、金、生糸、葉たばこなどの主要な生産地として栄えた大迫町の旧家には、江戸時代の享保雛、古今雛など、代々受け継がれた貴重な雛人形が数多く残されています。
むかし「おひなさん、お見しぇってくなんしぇ」と言って、子どもたちが家々の雛人形を見て歩いたそうです。
そんな風習を今に復活させたのが、大迫の「宿場の雛まつり」です。
商工会館をメイン会場に、町内20数ヶ所の商店や民家に、歴史雛から現代雛までいろいろなお雛様が飾られています。
ここで歴史雛の特徴を紹介しましょう。まず、江戸中期の享保年間に流行した享保雛です。
坐り雛の原型ともいわれる寛永雛を発展させた雛人形ですが、衣装が金襴や錦などを使う豪華なもので、面長で切れ長の目をもつ気品高い顔立ちをしています。
男雛は両袖を左右に膨らませて手に笏を持ち、女雛は五衣の重ねに唐衣姿で、三角に膨らませた赤い袴を着け、冠をかぶっています。
次は次郎左衛門雛(じろうざえもんびな)。京都の人形師で、幕府の御用達であった雛屋次郎左衛門が作った事からその名がついたと言われています。
丸顔で、引目鉤鼻(ひきめかぎはな)と呼ばれる細く引かれた目と小さな鼻が特長で、宝暦11年(1762)頃に江戸で売り出されてから庶民たちの人気を博したそうです。
男雛は公卿の装束姿、女雛は両手を開き、五衣に華やかな唐衣に袴姿で、冠はかぶっていません。
続いて、古今雛(こきんびな)。江戸時代の明和年間(1764)頃に作り始められた、江戸生まれの雛人形です。
江戸十軒店(じゅっけんだな)の人形師であった原舟月が顔を作り、古式に則った有職(ゆうそく)雛の形式で作られました。
目にガラスや水晶で象眼(ぞうがん)するなどの工夫がなされ、衣装も豪華であでやかです。
古風な趣のある雛ということで、「古今集」になぞらえ古今雛と呼ばれています。
「おおはさま・宿場のひなまつり」では、お雛様の展示の他にも、
大迫に伝わる伝説を題材にした手づくり大型紙芝居の上演やお雛様に変身して記念撮影などさまざまなイベントが行われる予定です。
今回は2月22日から3月3日に岩手県花巻市大迫で行われる「おおはさま・宿場のひなまつり」を紹介しました。
花巻観光協会 https://www.kanko-hanamaki.ne.jp/
ではここから、東北弁で語る民話をお送りします。今回は岩手県で語られていた民話「古ぎつねの婿入り」です。
お話の中に出てくる
「出はって」は「出て行って」
「えなさん」は「男の人」という意味です。