今週は、60年ぶりに故郷へと帰り16歳の頃の記憶を思い出す女性と、彼女の親友であり姻戚関係でもある女性との友情を描いた『最後のピクニック』をご紹介しましょう。主人公の2人を演じるのは、韓国のベテラン俳優であるナ・ムニとキム・ヨンオクで、実生活でも2人は親友同士なのだそう。息の合ったリアルな演技はさすがです。

© 2024 LOTTE ENTERTAINMENT & ROCKET FILM All Rights Reserved.
シネマエッセイ
関西ローカルの某テレビ番組で、街中で出会ったおば様とそのまま日帰り旅行に出かけるというコーナーがある。我が家の目下のお気に入り番組で、家族3人が毎週楽しみにしている。吉本芸人Tさんが朝から人通りのある商店街などに行き、通りすがりのおば様に声をかける。おば様がその気になるだけでは駄目で、誰か友人を誘わなければならないルールだ。時々は、友人ではなく母娘であったり、祖母と孫であったりもするが、基本は女性の友達と2人。行き先は、その場所から日帰りで行ける観光地で、飛行機で東北など遠方に行くこともある。豪華なランチに観光、アクティビティ、山ほどお土産を買って、これまたゴージャスな夕食を食べて帰るのだ。関西では超有名な番組なので、たいていの場合、おば様の方から声をかけてくる。芸人Tさんが立っていると、いきなり「今日はどこ行くん?」と聞いてくるなど、まさに関西のおばちゃん! おば様はスマホでお友達を誘う。出発時間までに見つからないと番組にならないので視聴者もハラハラする。めでたく同伴者が決まると、いざ出発。観光をしながら、あるいは食事をしながら、おば様たちの関係やプライベートなお話を聞き出す。その多くが「ママ友」関係なので、たいていは30年~40年以上の付き合い。だから、お互いの長所も短所も知り尽くしているのだ。おば様の中には「人生最後の素晴らしい思い出」とか「冥途の土産」などと、番組への感謝の言葉を口にする人も多い。いやいや皆さんとてもお元気で、まだまだ思い出はたくさん作れそうですよ! 実は私、かねてからこの日帰り旅行に行くことを夢見ている。もちろん誘う友人も決めている。しかし、惜しいことに私の住む町には人通りのある商店街がない。Tさんは永遠に来てくれないだろうな……。
韓国映画『最後のピクニック』では、親友同士のウンシムとグムスンというおば様2人が、10代の頃の思い出の場所にピクニックに行くラストシーンが描かれる。キンパを作って、お洒落をして、手を繋ぎ、杖を突いて……。しばらく海を見つめた後、2人は自分たちがそれぞれ歩いてきた道を、これまでの人生を、まるで確かめるかのように振り返る。彼女たちは何を思って振り返ったのだろう。誰しも、振り返った時に「自分の人生、満更でもなかった」と思えたら幸いである。

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大都会・ソウルに暮らすウンシムは、60年ぶりに“宝島”と呼ばれる故郷・南海へと帰り、親友のグムスンの元へ身を寄せる。そこでウンシムは、かつて彼女に恋をしていたテホと再会、忘れていた記憶を一つ一つ思い出し、懐かしさに心を躍らせる。だが、ウンシムが長年この地を離れていたのには理由があった。彼女の未来を決定的に変えてしまった16歳の頃の出来事と、波乱に満ちた人生が明かされていく。そして、互いの“今の真実”を知ったウンシムとグムスンは「最後のピクニック」に出かけ、「生まれ変わってもあなたの友達になる」と誓う──。

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監督・脚本:キム・ヨンギュン
出演:ナ・ムニ、キム・ヨンオク、パク・クニョン
2024 年/韓国/114分/配給:ショウゲート
https://picnic-movie.jp/
9月12日(金)よりテアトル梅田、kino cinéma 心斎橋、アップリンク京都、kino cinéma神戸国際ほかにて公開
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応募期限 9月10日(水)
当選された方にはハニーFMからメールにてご連絡させていただきます