みなさま「おばんです」山形県出身の内藤美保がお送りする「きてみで(来てみて)東北」。この番組は東北各地の紹介と、東北弁で語る民話をお届けしています(再生ボタン▶を押すと番組が始まります)

さて、今日紹介する東北の話題は、福島県会津の民芸品「赤べこ」です。「赤べこ」は会津の柳津が発祥の地と言われています。「赤べこ」は赤い牛の体の形をした張り子人形で頭を触ると首の部分がゆらゆらと動くのが特徴です。
先ずは、「赤べこ」の伝説をお伝えしましょう。今から四百年ほど前の一六一一年に会津地方を襲った大地震で柳津も大きな被害を受け、虚空蔵堂をはじめ僧舎・民家が倒壊し多くの死者が出ました。その後、虚空蔵堂再建に使われた材木は、只見川上流の村々からの寄進を受け、只見川を利用して運ばれましたが、ここから大きな岩の上に運ぶのに大変困り果てていたところ、仏のお導きか、どこからともなく力の強そうな赤毛の牛の群れが現れ、材木運搬に苦労していた黒毛の牛を助け、見事虚空蔵堂を再建することができたそうです。一生懸命手伝った赤毛の牛を「赤べこ」と呼び、忍耐と力強さ、さらには福を運ぶ「赤べこ」として多くの人々に親しまれるようになりました。
その後も、会津地方で伝染病が流行した時、赤べこを持っていた人が、病気にかからなかったということで、災難をよけたり、願いを叶えたりと縁起物のお守りとして有名になりました。また、後に材木を運んでくれた牛に感謝の気持ちと、ねぎらいをこめて圓蔵寺に建立されたのが、開運「撫牛」です。この撫牛は、自分の身体の病んだ部分や具合の悪い部分を撫でた後、その牛の身体の同じ箇所を撫でることで悪いところが牛に移って病気が治る、と言われています。また撫牛は、諸願成就にも効力があるとされ、開運を信じて牛を撫でると、出世はもとより万事願いが叶って幸運に恵まれる、とも言われています。

皆さんは十一月三日が赤べこの誕生日というのはご存知でしょうか。「赤べこの日」として、柳津町が赤べこを地域おこしに活用しようという取り組みの一環できめたそうです。そして柳津町内では、道の駅や町の各所で、赤べこの親子が皆さんをお出迎えしています。お父さんが「福太郎」、お母さんが「満子」、子供が「もうくん」、「あいちゃん」、「やなぎまる」です。皆さんも会津柳津まで大きな赤べこファミリーに会いに行ってみてはいかがでしょうか。

ではここから、東北弁で語る民話をお送りします。今回は山形県で語られていた民話「石肥三年」です。お話の中に出てくる「何かえした」は「いろいろなことをした」、「ごしゃがね」は「怒らない」、「むんつん」は「つむじ曲がり」という意味です。
