今週のとっておきの1本は、誰もがうらやむ完璧なカップルが、結婚式の 1 週間前に花嫁が告白した〈最悪の秘密〉をきっかけに生涯最悪の危機に向き合う『ドラマなふたり』。映画の公式サイトのイントロダクションには「カップルでのご来場は自己責任で」とあります。たしかにカップルで観たら、劇場を出るときに微妙な気まずさが漂うかもしれません。

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シネマエッセイ
誰にも言えない〈秘密〉……ではなく、誰にも言えなかった〈恥ずかしい話〉が私にはある。あれは、おしゃれな心斎橋に勤務していた遥か昔のこと。職場の界隈にはイタリアン、フレンチ、和食、蕎麦屋、うどん屋、おしゃれなカフェから一人すき焼きのお店まで様々な飲食店があった。毎日のランチには本当に困らなかったが、体重はしっかり蓄積されていった。それはともかく、ある金曜日のこと。テレビで紹介されたという店のランチがリーズナブルで美味しいと聞きつけ、後輩の女性と2人で向かった。店の前には黒板スタンドが置いてあり、「本日のランチ」が1週間分書かれている。月曜日がハンバーグ、火曜日はローストビーフ……という具合に。その日は金曜日、私は黒板に書かれている曜日の「曜」の字が「日」に「玉」と略字で書かれていることにつられて、「今日は〇〇〇〇だから、パスタだね~」と言った。その瞬間、言った私と聞いた後輩は「今、何かとんでもない言葉が発せられた」という顔でポカンと見つめ合う。そう、けっして女性が口にしてはいけない4文字の単語を、私は口走ってしまったのだ。数秒後、2人は笑い転げながら逃げるようにその場から遠ざかったのだった。この失態を私はシリアスに捉えたくなかったので誰かに笑い話として披露したかったのだが、自ら嬉しそうに話すには品のないエピソードである。「今までで一番恥ずかしかったことは?」なんていうテーマでトークする場面がないまま、それから数十年が過ぎた。くだんの後輩は、おそらく「先輩の大失言」などというタイトルでもつけて面白おかしく吹聴しているに違いないのだが……。さて数十年後の今、私がこうしてエッセイで告白したのは、8月21日公開の映画『ドラマなふたり』を観て、久しぶりに自分の恥ずかしい大失言を思い出したからである。
ただし、『ドラマなふたり』で主人公たちが告白しあったのは、〈恥ずかしい話〉ではなく、〈最悪の行い・秘密〉である。たとえお酒が入ったうえでの告白としても、4人の悪行・秘密には誰もがドン引きしてしまうだろう。4人ともお互いを非難できないほどの悪いことをしている。しかし主人公エマの悪行は恐ろし過ぎて、婚約者から強烈な不信感を持たれ、親友からは凄まじい攻撃を受けることになるのだ。さて、エマと婚約者チャーリーは無事に結婚できるのだろうか。ラストを知っても、なんとなく気まずい。そして、私の〈恥ずかしい話〉もドン引きされてしまったら、さらに気まずい……。

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ボストンのカフェで運命的な出会いを果たしたチャーリーとエマは、この上なく幸せな日々を送っていた。結婚式まであと7日と迫った夜、付添人の親友夫婦と4人での食事中、これまでにやらかした最悪の行いを告白することに。軽い気持ちで始めたゲームが、エマの〈最悪の秘密〉に全員がドン引き。チャーリーはエマには想像を絶する別の顔があるのではないかと恐れを抱く。幸福の絶頂は一転、疑心暗鬼のどん底へと墜落するが、結婚式の準備を止める術はなく、当日を迎えることに──。

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監督・脚本:クリストファー・ボルグリ
出演:ゼンデイヤ ロバート・パティンソン アラナ・ハイム、ママドゥ・アティエ
2026年/アメリカ/105分
配給:ハピネットファントム・スタジオ
https://happinet-phantom.com/drama
8月21日(金)全国公開
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