今週は、大富豪一族を追われた男が、奪われた人生と資産を取り戻そうとする復讐サスペンス『大富豪になるための正しい殺し方』をごし紹介ます。母親仕込みの知性と教養で、「自分に相応しい人生」を取り戻そうとする主人公を演じるのは、トム・クルーズの後継と言われるグレン・パウエル。スタイリッシュな緊迫感とブラックユーモアが交錯する極上のエンターテインメント作品です。

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シネマエッセイ
わが家は家族揃って“せっかち”である。今すぐ食べたいから行列のできる店には近寄らない。90代の母は、どこに出かけるにしても30分前には支度を済ませている。デイサービスのお迎えは常に門先で待つ。夫は外食時、食後の余韻を楽しまない主義なのか私が箸をおくと「出よか」と席を立つ。そして私は、たちの悪いことに人が話している時に結論を想像してつい口を挟んでしまう。しかも早口。以前ハニーのスタッフTさんから「鳥飼さん、息継ぎしてますか?」と笑われたこともある。20代の新婚当時、団地の仲良し奥さんたちとお好み焼きランチをしたときのこと。各自色々な食材を持ち寄って焼くのであるが、その支度になんと2時間かかったのには驚いた。粉を混ぜキャベツを切り、牛乳を入れたり長いもを入れたり、桜エビだのイカだの紅ショウガだの豚肉だの……その合間に話題があっちこっちに飛んでなかなか焼く段取りまで至らない。せっかちの私は(早く焼いて、焼きながらお喋りすればいいのに………)と思いつつ、世の中の人はこんなにゆったり生活しているのかと目から鱗状態。とはいえ、今どきの若者のように「タイパ!」などと言い、映画を2倍速で観たりすることはない。それはそれ、これはこれである。
そんなせっかち気質の私にぴったりのテンポで展開していくのが、映画『大富豪になるための正しい殺し方』である。主人公がなぜ自分の一族7人を次々に殺していくことになったのか、そしてその殺害方法などがポンポンポンと描かれていく。そこに陰湿さや怨念などは全く無い。ドライでスタイリッシュなのだ。そんな主人公の殺人行為を、まるで応援しているかのような気持ちになるのはどうしたものか……。わずか1時間半余りの物語の中に、生い立ち、ビジネス、復讐、恋愛、狂気……すべて詰め込まれていて過不足なし。まさにエンターテインメント! はたして主人公は、「自分に相応しい人生」を手に入れることができるのか?

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生まれながらに大富豪一族から追放され、貧しい生活を余儀なくされたベケット・レッドフェロー。280億ドルの遺産と「ふさわしい人生」を取り戻すため、相続に立ちはだかる親族たちを巧妙な「事故」に見せかけ抹殺していく。母親仕込みの知性を武器に暗躍するベケットだったが、ジュリアの登場で完璧な計画は狂い始め……。

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監督・脚本:ジョン・パットン・フォード
出演:グレン・パウエル、マーガレット・クアリー、ジェシカ・ヘンウィック、ビル・キャンプ、ザック・ウッズ、トファー・グレイス/エド・ハリス
2026年/イギリス、フランス/105分
配給:KADOKAWA
https://movies.kadokawa.co.jp/howtomakeakilling/
11月13日(金)全国公開
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