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【鳥飼美紀のとっておきシネマ】日本映画『侍タイムスリッパ―』

今週は、現在上映中、話題の映画『侍タイムスリッパー』をご紹介します。映画監督と米農家を兼業する安田淳一監督の自主制作映画。笑いあり、真剣勝負あり、人情あり、ちょっぴりロマンスありの実に面白い作品です。まだご覧になっていない方は、是非劇場へ!

©2024 未来映画社

~シネマエッセイ~
「置かれた場所で咲きなさい」という言葉は、2012年に発売されベストセラーとなった渡辺和子さんの著書のタイトルで知った。渡辺さんはカトリックの修道女で、ノートルダム清心学園理事長を務められ、2016年に89歳で亡くなられている。私は、彼女の「置かれた場所で咲きなさい」という言葉に背中を押された記憶がある。公務員時代、人事異動で自分にとっては後退としか思えない部署に配属された時だ。退職という言葉が一瞬頭をよぎった。しかし、それでは悔いが残るに違いない……そう思って、不本意な場所に置かれたけれど最善を尽くし、小さくても地味でもいいから花を咲かせてみようと気持ちを切り替えたのだった。そんな気持ちで新しい部署に行ってみると、素晴らしい上司や真面目で前向きな部下たちとの出会いがあり、楽しくもやりがいのある日々を過ごすことになったのである。思い返せば、置かれた場所で咲いたのではなく、咲かせてもらったような気がする。

日本映画『侍タイムスリッパー』の主人公である高坂さんという会津藩士は、長州藩士と刀を交えている最中、雷に打たれて幕末から現代にタイムスリップしてしまう。しかもおあつらえ向きに、タイムスリップした場所は京都の時代劇撮影所。自分が守ろうとした幕府が滅んで140年も経った世界で生きなければならないと悟った高坂さん、大きなショックを受けるが、きっと「置かれた場所で咲こう」と思ったのであろう。そうしなければ生きていけないのだ。で、殺陣の師匠に弟子入りし、時代劇の「切られ役」として活躍するようになる。
タイムスリップした現実に、抗わない高坂さんに好感を持つ。置かれた場所で、ひたむきに努力する高坂さんが愛おしい。もしかしたら自分たちの身近にも、何処やらの時代からタイムスリップしてきた人がいるかもしれない……なんて想像しながら観ていると、高坂さんにとって驚愕の出会いが待っていて……そこからは息をするのもはばかられるような緊張シーンが展開していくのだ。コメディであり、ヒューマンドラマでもあり、チャンバラ劇でもある、贅沢で見ごたえのある作品となっている。必見!

【ストーリー】
時は幕末、京の夜。会津藩士高坂新左衛門は暗闇に身を潜めていた。「長州藩士を討て」と家老じきじきの密命である。名乗り合い両者が刃を交えた刹那、落雷が轟いた。やがて眼を覚ますと、そこは現代の時代劇撮影所。新左衛門は行く先々で騒ぎを起こしながら、守ろうとした江戸幕府がとうの昔に滅んだと知り愕然となる。一度は死を覚悟したものの心優しい人々に助けられ少しずつ元気を取り戻していく。やがて「我が身を立てられるのはこれのみ」と刀を握り締め、新左衛門は磨き上げた剣の腕だけを頼りに「斬られ役」として生きていくため撮影所の門を叩くのであった。

監督: 安田淳一
出演:山口馬木也 冨家ノリマサ 沙倉ゆうの ほか
2024年製作/131分/日本/配給:ギャガ、未来映画社
https://www.samutai.net/
現在全国公開中

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