【とっておきシネマ】東野圭吾原作『手紙』2006年

皆さんお元気ですか? サウンドブランチ 鳥飼美紀です。
暑くなってきました。梅雨入りも控えてムシムシとした日が多くなってきます。
コロナに加えて、暑さによる体調悪化にも気をつけてくださいね。

さて、今週も「とっておきシネマ」のコーナーは「お家でシネマ」です。
緊急事態宣言は解除され映画館も営業再開していますが、新作映画の上映はまだ出揃っていない状態です。
上映が順調になれば、また新作映画の話題をおおくりしたいと思います。

「お家でシネマで」は、小説が原作の映画をご紹介。
今週は、東野圭吾原作の『手紙』です。
直木賞作家・東野圭吾によるロングセラー小説を映画化したものです。
2001年~2002年にかけて「毎日新聞」日曜版に連載、2003年に毎日新聞社から単行本が刊行されました。
その後、映画化に合わせて2006年に文春文庫から刊行され、即ミリオンセラーとなり売れ続けている小説です。
2006年に映画、2008年に舞台、2016・17年にミュージカル、2018年にテレビドラマ化されています。
私は原作を読んでいませんが、この映画は2006年の公開時に観ました。
作品を紹介する時に、最初にこういうことを言うのはなるべく避けるようにしていますが、あえて言います。
エンドロールが終わっても嗚咽が止まらず、一旦立ち上がって通路に出たものの、壁に手をついてまた泣き崩れました。
私がそう言うと「オーバーな・・・」と、笑い話のようですが、「ただ可哀想」な思いだけで泣いたのではありません。

ストーリーは・・・
工場で働く20歳の青年・直貴には、強盗殺人で刑務所に服役中の兄がいる。
兄のせいで人生が狂わされ、夢さえも諦めてしまう直貴。
獄中の兄からは手紙が月に一度届くが、直貴の前には常に「強盗殺人犯の弟」というレッテルが立ちはだかる。
彼の人生は、ことごとくうまくいかない・・・「兄貴がいる限り、俺の人生はハズレ」
そして愛する女性との幸せまでもが脅かされた時、直貴は兄に最後の手紙を書く・・・。

原作では、直貴は音楽が好きでバンドを組むらしいのですが、映画版では漫才師を目指すという設定です。
2018年に亀梨和也さん主演でドラマ化(兄は佐藤隆太)された時のラストシーンは、歌う設定でした。
そのラストシーンは、14年経った今でも忘れることができません。

犯罪加害者の身内の視点で描かれていることに注目したいですね。
被害者とその遺族、それだけではなく加害者の家族も“被害者”になってしまうことを正面から描いています。
犯罪を起こしたのは兄で、弟は正々堂々と、下を向くことなく生きるべきだ・・・とはいうものの、世間はそんなに優しくない。
「正しいことが常に正しい」とは言い切れない世の中の理不尽さが、痛烈に身に沁みます。
映画で、それを教えてくれるのが直貴の勤め先の会長です。
「差別はなくならないよ。誰もが犯罪からは遠ざかりたいから。でも君は逃げないで、社会とのつながりをコツコツ積み重ねていくんだ」
綺麗ごとで誤魔化さないことが、強くて誠実なことなのだと思い、印象に残っています。
この会長役、私は長いこと岸部一徳さんだと思い込んで周囲にもそう言って来ましたが、なんと杉浦直樹さんでした!

原作:東野圭吾
監督:生野慈朗
出演:山田孝之 玉山鉄二 沢尻エリカ 尾上寛之

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