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【とっておきシネマ】アメリカ映画『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』

金曜日夜9時からおおくりしている最新シネマ情報番組「とっておきシネマ」の鳥飼美紀です。
今週のとっておき作品は、巨大企業と闘うひとりの弁護士に光を当てた『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』です。

© 2021 STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC.

この映画は、2016年のニューヨーク・タイムズに掲載された記事をもとに製作されました。
その記事とは……ウエスト・バージニア州のコミュニティを蝕む環境汚染問題をめぐり、一人の弁護士が十数年にもわたって巨大企業と闘ってきた軌跡でした。
俳優のマーク・ラファロがこの記事を読み、映画化に向けてのプロジェクトを進め、主人公となる弁護士ロブ・ビロットを演じています。
環境保護活動にも熱心に取り組んでいるラファロは、静かな迫力をみなぎらせた渾身の演技を披露。
ヒーロー的な派手なシーンはありませんが、実話の重みをずっしりと感じる実録映画です。

© 2021 STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC.

【STORY】
1998年、オハイオ州の名門法律事務所で働く企業弁護士のロブ・ビロット。
彼は、ウェストバージニア州パーカーズバーグで農場を営む見知らぬ男から調査依頼を受ける。
男は大手化学メーカー・デュポン社の工場からの廃棄物によって土地を汚染され、農場の牛が大量死したというのだ。
ロブは廃棄物に関する資料開示を裁判所に求め、“PFOA”という謎めいたワードを調べたことをきっかけに、事態の深刻さに気づく。
デュポンは発ガン性のある有害物質の危険性を40年間も隠蔽し、その物質を大気中や土壌に垂れ流してきたのだ。
やがてロブは7万人の住民を原告団とする一大集団訴訟に踏みきる。
しかし強大な権力と資金力を誇る巨大企業との法廷闘争は、真実を追い求めるロブを窮地に陥れていく……。

© 2021 STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC.

【REVIEW】
弁護士が活躍する映画となると、日本ではカッコイイ弁護士がヒーロー的な活躍をするというイメージがある。
しかし、この作品の主人公ロブ・ビロットはごく普通の地道な弁護士である。
化学会社だけを顧客に持つ弁護士事務所に勤務しているから、本来は企業側に付く立場なのだ。
その彼が巨大企業を相手に闘うのだが、そのプレッシャーたるや強烈なもので、ストレスで手がぶるぶる震えたり気絶したりする。
それでも正義のために踏ん張る姿に深い尊敬を覚えるし、勇気づけられる。
また、農場主の執念も凄まじく、一時は和解を勧めるロブに「金なんか要らん!」とブレない。
彼らがゆるぎない信念を貫くところをじっくり味わい、実話の重みを感じ取っていただきたい。

© 2021 STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC.

出演:マーク・ラファロ アン・ハサウェイ ティム・ロビンス ビル・キャンプ ヴィクター・ガーバー ビル・プルマン
監督:トッド・ヘインズ(『キャロル』『エデンより彼方に』)
2019年/アメリカ/英語/126分/字幕翻訳:橋本裕充 提供:木下グループ 配給・宣伝:キノフィルムズ
https://dw-movie.jp/
12/17(金)、TOHOシネマズ シャンテほかロードショー
関西では12/17(金)~大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズ西宮OS 12/24(金)~シネ・リーブル神戸などで公開

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