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【とっておきシネマ】『林檎とポラロイド』製作国:ギリシャ・ポーランド・スロベニア

毎週金曜日、夜9時からおおくりしている最新シネマ情報番組「とっておきシネマ」の鳥飼美紀です。
今週ご紹介した映画は『林檎とポラロイド』という、ちょっと不思議な雰囲気の作品です。

2020 Boo Productions and Lava Films

【STORY】

あたりまえのように人々が記憶喪失になっていく街。それがどこなのか、いつの時代なのかは明確にはされていない。
ある日の朝、男はアパートの玄関でご近所さんと犬に挨拶をし、そして昼間、花屋で小さな花を買う。
夜、バスの中で目覚めたその男は、記憶を失っていた。覚えているのは“自分はリンゴが好き”ということだけ。
「記憶喪失が治る希望はない」と医師に言われ、「新しい自分プログラム」を提案される。
古い記憶を取り戻すことはあきらめて、新たな経験と記憶を重ねて未来に向かっての思い出作りをし、それをポラロイド写真に記録していくのだ。
毎日リンゴを食べ、送られてくるカセットテープに吹き込まれたさまざまなミッションをこなしていく男。
そのミッションとは
・自転車に乗る
・パーティで友達を作る
・ホラー映画を見る
など、ごくありふれたこと。
そして同じプログラムに参加する女と出会い、言葉を交わし、仲良くなっていく……。
「新しい日常」にも慣れてきた頃、男の過去が徐々に紐解かれていく~。

2020 Boo Productions and Lava Films

【REVIEW】

監督・脚本は、クリストス・ニク。
この作品を「寓話的なコメディ」と言っている。
確かに、登場人物たちは真面目な顔でおかしなことをしている。
ある日突然、記憶を失っても、本人たちに悲壮感のようなものはなく淡々としている。
そして悩むこともほとんどなく「新しい自分プログラム」のミッションをこなし、ポラロイド写真に記録していく。
ミッションが吹き込まれているテープを再生するカセットデッキもポラロイドカメラも60年代から70年代のものではないか?
とてもノスタルジックで、温かみも伝わってくるような気がする。

2020 Boo Productions and Lava Films

主人公の男を演じる俳優(アリス・セルヴェタリス)はデビュー当初から喜劇作品によく出演していたらしいが、コメディっぽいビジュアルではない。
哀愁漂う静かな男性だから、逆におかしみを誘うのかもしれない。
結局、ラストには彼の事情が明らかになるが、すべてを知った時、少なからず胸を打たれる。

2020 Boo Productions and Lava Films

ニク監督の長編デビュー作。
女優のケイト・ブランシェットがこの作品に惚れこみ、映画完成後にも関わらずエグゼクティブ・プロデューサー就任を熱望し、クレジットされた。
彼の長編第2作目は、そのケイト・ブランシェットのプロデュースでハリウッドの企画が進行中という。
これからも楽しみな監督の作品である。

監督:クリストス・ニク
出演:アリス・セルヴェタリス ソフィア・ゲオルゴヴァシリ
2020年/ギリシャ=ポーランド=スロベニア/90分/配給:ビターズ・エンド
https://www.bitters.co.jp/ringo/
2021年3月11日(金)~テアトル梅田、リーブル神戸、京都シネマほか全国順次ロードショー

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