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【とっておきシネマ】日本映画『マイ・ブロークン・マリコ』

毎週金曜の夜9時からおおくりしている最新シネマ情報番組「とっておきシネマ」の鳥飼美紀です。

この秋は面白い作品が目白押し! 今週も、2本ご紹介しました。
偶然にも両作品には「遺骨」が出てきますが、暗い作品ではありませんよ。
まずは、平庫ワカさんの漫画が原作、永野芽郁さん主演の「マイ・ブロークン・マリコ」。

(C)2022映画『マイ・ブロークン・マリコ』製作委員会

【STORY】
ブラック企業に勤め、鬱屈した日々を送る OL・シイノトモヨ。
ある日、親友のマリコがマンションから転落死したという事実をTVのニュースで知る。
マリコの死を受け入れられないまま茫然自失するシイノだったが、大切なダチの遺骨が毒親の手に渡ったと知り、居ても立っても居られず行動を開始。
包丁を片手に単身“敵地”へと乗り込み、マリコの遺骨を奪取する。
幼い頃から父親や恋人に暴力を振るわれ、人生を奪われ続けた親友に自分ができることはないのか…。
シイノがたどり着いた答えは、学生時代にマリコが行きたがっていた海へと彼女の遺骨を連れていくことだった。
道中で出会った男・マキオも巻き込み、最初で最後の“二人旅”が始まる。

(C)2022映画『マイ・ブロークン・マリコ』製作委員会

【REVIEW】
タナダユキ監督の作品。
最近の作品には「ロマンスドール」(20)や「浜の朝日の嘘つきどもと」(21)などがあり、常に脚本も手掛けている。
本作は、どうにもならないことをどうにかしようとする主人公のシイノの生きざまに強く魅せられ、映画化したという。

(C)2022映画『マイ・ブロークン・マリコ』製作委員会

何が見どころと言って、永野芽郁さんの「やさぐれっぷり」に注目!
主人公シイノのスマホはひび割れている、牛丼を2人前食べるのは当たり前、割り箸は口で割り、煙草もスパスパ、マリコのことを「親友」ではなく「ダチ」と呼ぶ。
とてもワイルドな女性を演じ切っていて、もう“可愛い芽郁ちゃん”という言葉だけで彼女を語れない、という新鮮な衝撃を受けた。
永野芽郁さんといえば、2018年の朝ドラ「半分青い」でブレイクしたが、実はその前に映画デビューもしていて、朝ドラ後も多くの映画に出演。
各映画賞で主演女優賞を受賞するなど、着実にキャリアを積んでいる。
今回の役どころは彼女にとっては大きな挑戦で、「今までにない自分を観てもらえる」という意気込みが演技に表れている。
そして、遺骨となってしまったマリコ役は奈緒さんが演じているが、つらい時にもけなげに微笑んでいる儚い笑顔は彼女のオハコ。
このふたりの友達以上の関係が、シイノの記憶の中で甦りつつの旅が描かれていく。
シイノとマリコ、ふたりの友情は単なる“仲良し”という言葉だけで表すことはできない。
強いシイノに弱いマリコが寄りかかってくるのを「めんどくせぇ~」と思うこともあるが、シイノはマリコを絶対に見捨てないのだ。
そんな頼もしいシイノに抱かれて旅する遺骨となったマリコは、どんなことを思っているのだろうか……。

監督:タナダユキ
原作:平庫ワカ 『マイ ・ブロークン ・マリコ』(BRIDGE COMICS/KADOKAWA 刊 )
出演:永野芽郁  奈 緒  窪田正孝  尾美としのり 吉田羊
2022年製作/85分/日本/配給:ハピネットファントム・スタジオ、KADOKAWA
https://happinet-phantom.com/mariko/
9月30日(金)~TOHOシネマズ梅田 OSシネマズ神戸ハーバーランド TOHOシネマズ西宮OSなどで公開

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