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【とっておきシネマ】日本映画『ファミリア』

金曜の夜9時からおおくりしている最新シネマ情報番組「とっておきシネマ」の鳥飼美紀です。
今年も放送を聞いていただき、ありがとうございました。
来年2023年も“とっておき”の映画をたくさんご紹介していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします!

さて、2022年ラストの放送となった今週のとっておきの1本は、日本映画『ファミリア』をご紹介しました。
国籍や、育った環境、言葉、さまざまな違いを超えて家族を作ろうとする人々の物語です。
日本で暮らす外国人の現実が垣間見られたこと、そして名優・役所広司さんの素晴らしい演技力と吉沢亮さんの綺麗な瞳が印象的でしたよ。
リスナープレゼントでは、この映画の鑑賞券を2組4名の方にプレゼントしますよ!
ご応募はこちらから→ https://fm822.com/archives/40993

©2022「ファミリア」製作委員会

【STORY】
陶器職人の神谷誠治は妻を早くに亡くし、山里で独り暮らし。
アルジェリアに赴任中の一人息子の学が、難民出身のナディアと結婚し、彼女を連れて一時帰国した。
結婚を機に会社を辞め、焼き物を継ぐと宣言した学に反対する誠治。
一方、隣町の団地に住む在日ブラジル人青年のマルコスは半グレに追われたときに助けてくれた誠治に亡き父の面影を重ね、焼き物の仕事に興味を持つ。
そんなある日、アルジェリアに戻った学とナディアを悲劇が襲う……。

©2022「ファミリア」製作委員会

【REVIEW】
現在、日本には約280万人(2021年6月末現在)の外国人が暮らしている。
その中で、20万人を超えるという在日ブラジル人が最も多く住む愛知県出身の脚本家いながききよたかが、実際に起きた事件などをヒントにしたオリジナル作品。

©2022「ファミリア」製作委員会

物語には、難民、ヘイトクライム、テロなど、昨今の日本にも無関係ではない問題が盛り込まれている。
監督は、日本アカデミー賞最優秀作品賞・監督賞などを受賞した『八日目の蝉』(2011年)の成島出監督。
とにかく、役所広司が巧い。何を演じても、ごく自然に役になり切れる素晴らしい俳優である。
今回演じた誠治は児童養護施設で育ち、若い頃はかなりの荒くれ者ではあったが、結婚してから心を入れ替え焼き物に打ち込む男を演じている。
人生の中で幾度も大切な人を失う誠治には、諦観のようなものが身についているように思えるが、一人息子を襲った悲劇では激しく取り乱してしまう。
そんな、不器用だが家族を深く愛する情のある誠治の存在が、観ているものを物語の中にグングン引きずり込んでいく。

©2022「ファミリア」製作委員会

主人公の誠治、異国である日本で暮らすブラジル人マルコス、半グレのリーダー榎本……いずれも大切な人を失うという喪失感を抱えている。
これ以上大切な人を失わないため、これ以上罪を犯させないために誠治が取った命がけの行動には驚かされるが、希望の光が射すラストに心がじんわり温まる。
一見平和に見える日本、その片隅で暮らす登場人物たちの〈大切な人と共に生きていきたい〉という思いが強く伝わってくる作品。

©2022「ファミリア」製作委員会

監督:成島出
出演:役所広司 吉沢亮 サガ・エルカス ワケド・ファジレ 松重豊 MIYABI 佐藤浩市
2022年/121分/PG12/日本 配給:キノフィルムズ
https://familiar-movie.jp/
1月6日(金)から全国公開 関西では、大阪ステーションシティシネマ  kinocinema 神戸国際などで公開

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