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【とっておきシネマ】日本映画『ひみつのなっちゃん。』

金曜夜9時からの最新シネマ情報番組「とっておきシネマ」の鳥飼美紀です。
今週は、全く趣の違う2つの作品をご紹介しました。
1つは、日本映画『ひみつのなっちゃん。』
滝藤賢一さんがドラァーグクィーンに扮したハートフルヒューマンコメディ。
映画初主演の滝藤さんはじめ、ドラァグクィーン役を演じる3人の俳優さんの“なりきり力”が、ブラボー!です。

もう1つは、アメリカ映画『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』。
ピューリッツァー賞を受賞した衝撃スクープを映画化した作品で、あの#MeToo運動に火をつけた2人の女性ジャーナリストの物語です。

まずは、日本映画『ひみつのなっちゃん。』からご紹介しましょう。

(C) 2023「ひみつのなっちゃん。」製作委員会

【STORY】
ある夏の夜、なっちゃんが死んだ。
なっちゃんは、新宿二丁目で飲食店を営むオネエのママ。
店で働くモリリンはドラァグクイーン仲間のバージンとズブ子を呼び出す。
3人はなっちゃんの家族が来る前に、オネエの証拠隠滅をするため、なっちゃんの自宅アパートに侵入する。
ところが、息子の訃報を聞いて故郷からやってきたなっちゃんの母・恵子と出くわしてしまう。
何とかその場を取り繕った彼らだが、恵子から岐阜県郡上市の実家で行われる葬儀に誘われてしまい、郡上八幡へ向かうことになる……。

(C) 2023「ひみつのなっちゃん。」製作委員会

【REVIEW】

LGBTQ+(性的マイノリティ)の人たちが主人公のお話で、滝藤賢一、渡部 秀、前野朋哉の3人がドラァグクィーンを演じている。

その3人が、ドラァグクイーンの師匠・ボスとまで慕っていたなっちゃんの葬式のため、東京・新宿から自然豊かな岐阜県の郡上八幡まで旅をするロードムービー。
見ていて気付いたのは、マイノリティに寛容なのはむしろ閉鎖的と思い込まれている地方なのではないか……ということ。
死んだなっちゃんの生まれ故郷までたどり着いた3人を、村人たちは誰も好奇の目で見ない。
違和感なくドラァグクィーンを受け入れ、ともに楽しむという他者に優しい本来の日本社会に気づかされるのだ。

(C) 2023「ひみつのなっちゃん。」製作委員会

3人のドラァグクィーンが巻き起こす笑いと温かさで、さまざまな生き方を応援する物語となっているが、1番の見どころは3人の“なりきり”具合だ。
眼の動き、立ち姿から歩き方、喋り方、手のしぐさなど、かなり研究しているのがよくわかり、それぞれのキャラクターが存分に楽しめる。
さらに、なっちゃんのお母さん役・松原智恵子の優しさとおとぼけ具合が最高だった。
タイトルの『ひみつのなっちゃん。』に聞きおぼえが……そうだ、赤塚不二夫作の『ひみつのアッコちゃん』だ!
魔法の小さなコンパクトを開けて「テクマクマヤコン」と唱えると変身できるアッコちゃん。
そう、滝藤賢一演じるバージンが最後まで大切に持っているものが、なっちゃんに貰った小さなコンパクトなのだった……。

監督:田中和次朗
出演:滝藤賢一 渡部秀 前野朋哉 / 松原智恵子
2023年/97分/日本/配給:ラビットハウス 丸壱動画
https://himitsuno-nacchan.com/
1月13日(金)~新宿ピカデリー他全国ロードショー
関西は、大阪ステーションシティシネマ MOVIX京都 kino cinema神戸国際などで上映

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